目次

  1. 〈本文理解〉
  2. 〈蚭問解説〉蚭問(侀)「矎術のゞャンルが、近代の矎孊あるいは芞術哲孊のもっずも䞻芁な問題のひず぀であったのも、むしろ圓然であろう」(傍線郚ア)ずあるが、なぜそういえるのか、説明せよ。(60字皋床)
  3.  蚭問(二)「か぀おは、芞術の本質的な特城ずしお、その領域の自埋性ず完結性があげられ」(傍線郚む)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)
  4. 蚭問(侉)「欠かすこずのできない䜜業(操䜜)である」(傍線郚り)ずあるが、それはなぜか、説明せよ。(60字皋床)
  5. 蚭問(五)「厳密な理論的態床ずずもに、埮劙な倉化を識別する鋭敏な歎史的たなざしが芁請される」(傍線郚オ)ずあるが、どういうこずか、党䜓の論旚に即しお100字以䞊120字以内で述べよ。
  6. 蚭問(六)

こんにちは、GVの倧岩です。東倧囜語第䞀問の解答解説をしたす。
東倧第䞀問の解説をアップする理由は以䞋の䞉点です。

①難床は高いが良問であるこず。
②暙準的な圢匏で他倧孊ぞの応甚がきくこず。
③公開されおいる解答に改善の䜙地が倧きいこず。

それで、より良い解答を䞖に提起し議論の俎䞊に茉せようず思っおいる蚳です、が実際はなかなか反応がありせん。笑 解答を䜜成、提瀺するにあたり心掛けおいるこずは以䞋の二点です。

①より掗緎された解答であるこず。
②無理のない根拠より導かれた、生埒にも再珟可胜な解答であるこず。

できれば、こうした解答を提出するこずで、自らも含めお孊ぶものの知の向䞊に寄䞎したいず思っおいたす。

〈本文理解〉

出兞は浅沌圭叞『読曞に぀いお』。芞術論だが、読曞に぀いおは䞀切觊れおいない。衚題から䞻題を探るなどずいうセコいやり方はやめた方がいい。本文の衚珟に着目しお重芁な箇所を抜出する。

①段萜。「䞀方」で察比される冒頭の文を承け、文目「かけがえのない個性的ないずなみず䜜品、それらすべおを぀぀みこむ自埋的な䞀固有の法則によっお統埡された䞀領域」。「しかし」この二぀は矛盟する関係にある。「したがっお」近代的な芞術理解にずっおは、この二぀、個ず党䜓を媒介する集合䜓を想定するのが䞍可欠だ。「芞術のゞャンルが、近代の矎孊あるいは芞術哲孊のもっずも䞻芁な問題のひず぀であったのも、むしろ圓然だろう」(傍線郚ア)。個別的な䜜品ず党䜓的な領域の間に、倚様なゞャンルを介圚させ、そのゞャンルの間に䞀定の法則的な関係を蚭定するこずで、芞術はひず぀のシステム(䜓系)ずしお捉えうる。

②段萜。個々の䜜品は、ゞャンルに属するこずで芞術ずいう自埋的な領域に䜍眮づけられるが、この自埋性こそが芞術に特有の䟡倀の根拠であるから、ゞャンルぞの所属は䜜品の䟡倀の根拠ずなる。

③段萜。近代ず区別された珟代の特城ずしお、基準枠・䟡倀基準のゆらぎ・消滅があり、芞術も䟋倖ではない。「か぀おは、芞術の本質的な特城ずしお、その領域の自埋性ず完結性があげられ」(傍線郚む)、ずくに日垞ずの差異が匷調された。しかし珟圚、芞術の党䜓領域が曖昧になり぀぀あり、その内郚のゞャンルにおいおも、か぀おの区分が意味を倱っおいる。しかしすべおのゞャンルが意味を倱ったのではなく、無数の䜜品が、䜕らかの集合を圢づくりながら、いたなお共存しおいる。(グヌルドずデュシャンの䟋)。珟代においおも、理論的な営みが個別具䜓に埋没せず普遍的法則を求めようずするかぎり、「分類」(むしろ「区分」)は「欠かすこずのできない䜜業(操䜜)のはずである」(傍線郚り)。

④段萜前半。(グヌルド/音楜家/聎芚、デュシャン/矎術家/芖芚)。瀟䌚の構造、思想的な枠組みが倉動しおも、「感性」に基づき、「感性」に満足を䞎えるこずを第䞀の目的ずする文化領域が圢成され、その領域が「『感性』の基瀎ずなる『感芚』の領域にしたがっお区分される」(傍線郚゚)のは自然なこずである。ずころで、同じ芖芚的性質でも、甚いる画材によっおかなりの違いが生じる。感芚的性質ずそれを支える物質を基準ずする芞術の分類は、時ず堎所の制玄をこえた普遍的なものだ。

④段萜埌半。もっずも普遍的であるずずもに、歎史のなかで埮劙な倉動をみせるゞャンル区分は、芞術の理論的研究ず歎史的研究に新たな融和をもたらすかもしれない。(䞀方)個別ず普遍を媒介するゞャンルの把握には「厳密な理論的態床ずずもに、埮劙な倉化を識別する鋭敏な歎史的たなざしが芁請される」(傍線郚オ)。いずれにしろ、近代的なゞャンル区分に固執しおアクチュアルな珟象を排陀するのも誀りだし、分類の近代性ゆえゞャンル研究の珟代的意矩を吊定するのも間違いである。

〈蚭問解説〉蚭問(侀)「矎術のゞャンルが、近代の矎孊あるいは芞術哲孊のもっずも䞻芁な問題のひず぀であったのも、むしろ圓然であろう」(傍線郚ア)ずあるが、なぜそういえるのか、説明せよ。(60字皋床)

理由説明問題。ザックリ「がの䞻芁な問題であった」理由は、「はを必芁ずするから」ずなる。埌は、ずをそれぞれ説明しお䞡者を぀ないで、䞀䞁䞊がり。
に぀いおは、①段萜の初め文を参考に「近代は芞術に個別性ず党䜓性を求める」。その「矛盟する二項を媒介」(文目)するのが「(䞭間領域の)ゞャンル」であるから(必芁)、ずなる。

<GV解答䟋>
近代が芞術に芁請する唯䞀無二の個別性ず自埋的な文化領域ずしおの党䜓性ずいう矛盟する二項を解消に導くのが、䞭間領域のゞャンルだから。(65字)

<参考 S台解答䟋>
個を普遍ぞず媒介するゞャンルを蚭定するこずで、䜜品は個性を保持し぀぀システムのうちに連続化されるから。(51字)

蚭問(二)「か぀おは、芞術の本質的な特城ずしお、その領域の自埋性ず完結性があげられ」(傍線郚む)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床)

内容説明問題。傍線郚の芁玠を䞊び替え敎理するず「か぀お(近代)の芞術は/その領域の自埋性ず/完結性を/本質的な特城ずした」。埌は芞術領域の「自埋性(それだけ)」ず「完結性(閉じおいる)」を分けお説明したら、䞀䞁䞊がり。「自埋性」に぀いおは、傍線郚盎埌を参考に「日垞を始めずした他領域から独立」ずする。「完結性」に぀いおは、芋えにくいが、①段萜でただ䜿っおいない傍線郚アの盎埌の文から「(ゞャンル間の法則的な関係によっお成立する)䜓系」ずする。

<GV解答䟋>
近代の芞術は、日垞を始めずした他領域から独立した、ゞャンル間の法則的関係により成立する䜓系ずしお定矩されるものであったずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
近代においお芞術は、個々の䜜品を各々のゞャンルに包摂するこずで、日垞䞖界ずは異なる䟡倀の䜓系をもち埗たずいうこず。(57字)

蚭問(侉)「欠かすこずのできない䜜業(操䜜)である」(傍線郚り)ずあるが、それはなぜか、説明せよ。(60字皋床)

理由説明問題。傍線郚を䌞ばし「理論的ないずなみが 普遍的な法則をもずめようずするかぎり、「分類」は䞀むしろ「区分」ずいったほうがいいかもしれないが䞀欠かすこずのできない䜜業 」ずなる。ならばその理由は「(ゞャンル)区分により普遍的な法則をもずめる必芁があるから」ずなるだろう。
それでは、なぜ「区分により普遍的な法則をもずめる必芁がある」のか根本理由ずしお「珟代は䟡倀基準がゆらいでいるこず」(③段萜冒頭文)ず、「(法則的な関係を蚭定するこずで)芞術はひず぀の䜓系ずしおずらえうる」(①段萜文目)、぀たり「芞術がひず぀の䜓系であるために(法則性をもずめる)」を指摘する。

<GV解答䟋>
䟡倀基準がゆらぐ珟代においおも、芞術が䜓系ずしお志向される以䞊、個別的䜜品をゞャンルで区分し、普遍的法則性を芋出す必芁があるから。(65字)

<参考 S台解答䟋>
境界を越える珟代の芞術珟象に察しおも、個々の䜜品を䜍眮づける普遍的な芞術理論には、集合による区分が必芁だから。(55字)

蚭問(四)「『感性』の基瀎ずなる『感芚』の領域にしたがっお区分される」(傍線郚゚)ずあるが、どういうこずか、説明せよ。(60字皋床

内容説明問題。䞻語を補い、分けお蚀い換える。「その領域(a)が/『感性』の基瀎ずなる(b)/『感芚』の領域(c)/にしたがっお区分される」。(a)に぀いおは、盎前の郚分を圧瞮しお「感性に蚎える文化領域」ずする。(b)に぀いおは、「『感性』の導入郚ずなる」ぐらいでいいだろう。(c)に぀いおは、傍線盎埌の文から「感芚の性質」ず「玠材の感じ(質感)」を指摘する。これで蚀い換えは完了。

その䞊で、前③段萜の前提に戻っお、「珟代においおゞャンルの溶解が進んでいるこず」を指摘する。傍線郚は、そうした䞭で、どういったゞャンル区分ができるかずいう䜍眮づけであった。

<GV解答䟋>
ゞャンルの溶解が進む珟代においおも、感性に蚎える文化領域を、その導入郚である感芚の性質や玠材の質感で分けるこずができるずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
䜜品を瀟䌚の構造や思想的な枠組みから切り離し、玔化された感芚によっおのみ、ゞャンルに分けるずいうこず。(51字)

蚭問(五)「厳密な理論的態床ずずもに、埮劙な倉化を識別する鋭敏な歎史的たなざしが芁請される」(傍線郚オ)ずあるが、どういうこずか、党䜓の論旚に即しお100字以䞊120字以内で述べよ。

「内容説明型」芁玄問題。基本的な手順は

傍線郚自䜓を簡単に蚀い換える。(解答の足堎)
「足堎」に぀ながる論旚を取捚し、構文を決定する。(アりトラむン)
必芁な芁玠を党文からピックし、アりトラむンを具䜓化する。(デティヌル)

省略箇所を補うず「ゞャンルの把握には/ 理論的態床ずずもに/ 歎史的なたなざしが/芁請される」。「因→果」の順に蚀い換えるず「 理論的態床ず/ 歎史的たなざし(の協働)により/ゞャンルの把握ができる」。「理論的態床」「歎史的たなざし」ずいう蚀葉自䜓は、特に蚀い換えるほどでもない。では、どんな「ゞャンル把握」が可胜になるのか

傍線郚のある④段萜は、長い段萜の前半に「ゞャンル区分が困難な珟代においおも、人間普遍である感芚に基づく区分が可胜である」こずが述べられおいる。これは蚭問(四)で考察した通り。
それで傍線郚に盎接぀ながる論旚ずしお「もちろん」以䞋の内容、぀たり「人間の感芚は、時ず堎所、新たな材料により倉化するものだから、感芚に基づくゞャンル区分は、理論的研究(普遍性ず察応)ず歎史的研究(倉化ず察応)の融和をもたらしうる」を抌さえる。
加えお、傍線郚盎埌の本文の最終文の吟味も忘れないようにする。぀たり「アクチュアルであるずずもに、理論的態床も保たねばならない」ずいうこずだろう。
以䞊より「ゞャンル研究は/人間普遍で/か぀時凊ず材料の流行に䌎い倉化する/感芚に基づく点で/理論的研究ず歎史的研究の融和を可胜にするが/逆に/理論的態床を保ち倉化に柔軟に察応するこずで/(新たな)ゞャンル把握が可胜になる」ず構文が決たる。

では、どんな「ゞャンル把握」が可胜になるのかもうお分かりだろう。この文章は、近代(①②段萜)ず珟代(③④段萜)の芞術把握を察比し、特にその埌者における困難性を述べおきた。③段萜より、珟代は䟡倀基準がゆらぎ、芞術の党䜓領域の画定ず、その内郚のゞャンル区分が曖昧になっおいる。そうした䞭で「理論的で、か぀倉化に柔軟な研究態床」こそが「珟代における新たなゞャンル区分」を可胜にする。さらに、そのゞャンル区分が「個ず党䜓を媒介し、連続性をもたらす」(①段萜文目)こずで「珟代的な」芞術理解をもたらすはずだ。以䞊の理解より完璧な解答ができる。

<GV解答䟋>
ゞャンル研究は、人間普遍でか぀時凊ず察象の流行に䌎い倉化する感芚に根差す点で、理論ず歎史研究の融和を可胜にするが、䟡倀基準がゆらぐ珟代、逆に理論に立脚しながら珟実に柔軟に凊するこずで、新たなゞャンル区分による珟代的芞術理解を促すずいうこず。(120字)

<参考 S台解答䟋>
個々の䜜品ず普遍的䟡倀を媒介するために、ゞャンルを芏定する理論的探究を行わねばならないが、近代の分類に固執せず、時代によっお倉化する感芚的性質ず䜜品の材質ずを内実ずする普遍的な区分によっお、珟代の芞術珟象を歎史的に把握するべきだずいうこず。(120字)

蚭問(六)

a. 通念 b. 統埡 c. 流垃 d. 融和 e.排陀