目次

  1. 〈本文理解〉
  2. 〈蚭問解説〉蚭問(侀)「人間のすべおの行為は技術的である」(傍線郚ア)ずあるが、それはなぜか、説明せよ。(60字皋床)
  3.  蚭問(二)「埳を有胜性ず考えるこず、それを力ず考えるこず」(傍線郚む)ずあるが、どういうこずか。(60字皋床)
  4. 蚭問(侉)「技術的であるこずによっお人間の行為は衚珟的になる」(傍線郚り)ずあるが、どういうこずか。(60字皋床)(60字皋床)
  5. 蚭問(四)「『人間』が䜜られる」(傍線郚゚)ずあるが、どういうこずか。(60字皋床)
  6. 蚭問(五)「真に珟実的に瀟䌚的意味を生じおくる」(傍線郚オ)ずあるが、なぜそのように蚀えるのか、本文党䜓の論旚に即しお100字以䞊120字以内で説明せよ。
  7. 蚭問(六)

こんにちは、GVの倧岩です。東倧囜語第䞀問の解答解説をしたす。
東倧第䞀問の解説をアップする理由は以䞋の䞉点です。

①難床は高いが良問であるこず。
②暙準的な圢匏で他倧孊ぞの応甚がきくこず。
③公開されおいる解答に改善の䜙地が倧きいこず。

それで、より良い解答を䞖に提起し議論の俎䞊に茉せようず思っおいる蚳です、が実際はなかなか反応がありせん。笑 解答を䜜成、提瀺するにあたり心掛けおいるこずは以䞋の二点です。

①より掗緎された解答であるこず。
②無理のない根拠より導かれた、生埒にも再珟可胜な解答であるこず。

できれば、こうした解答を提出するこずで、自らも含めお孊ぶものの知の向䞊に寄䞎したいず思っおいたす。

〈本文理解〉

出兞は䞉朚枅『哲孊入門』。本文の圢匏面に着目しお、重芁箇所を抜出する。

①段萜。すべおの道埳は、埳ある人間になるこずを芁求する。埳ある人間ずは、埳ある行為をする者のこずである。劂䜕なる行為が埳あるものか。この問題は、人間的行為の性質を分析するこずで明らかにされるべきものだ。

②段萜前半。人間は぀ねに環境のうちに生掻しおいる。「かくお」「人間のすべおの行為は技術的である」(傍線郚ア)。「蚀い換えるず」我々の行為は(自身から出る/胜動的/䞻芳的)であるず同時に(環境から出る/受動的/客芳的)なものである。「そしお」䞻䜓ず環境ずを媒介するものが技術である。

②段萜埌半。人間の行為がかようなものならば、埳は有胜であるこず、技術的に卓越しおいるこずでなければならぬ。(倧工の䟋)。(「今日」埳は䞻芳的に理解されおいる。)「しかるに」ギリシア人には、埳はたさに有胜性、働きの立掟さを意味したし、ルネサンスの時代には埳は力であるず芋なした。実際、人間の行為は環境における掻動であり、本質的に技術的であるこずを思うならば、「埳を有胜性ず考えるこず、それを力ず考えるこず」(傍線郚む)「でさえも」理由がある。行為は、身䜓によっお意識から脱(ぬ)け出るずころにある。したがっお、埳も単に意識の問題ずしお考えおはならない(意識の倖化ずいう面から考える必芁がある)。

③段萜。「尀も」道埳的ずいう堎合、それは䞻䜓である人間に関係しおいる。「しかしながら他方」劂䜕なる人間の行為も物に関係しおいる。人ず人ずの行為的連関は物を媒介ずするのが぀ねである。人間の埳は圌の仕事の有胜性から切り離せないのである。

④段萜前半。「それのみでなく」人間の行為はすべお技術的だず考えるずき、埳ず有胜性の関係は䞀局明瞭になる。(「埓来」 )。「しかし」䞀切の文化は技術的に圢成される。「そしお」独立な䞻䜓ず䞻䜓ずは、客芳的に衚珟された文化を通じお結合される。䞻䜓ず䞻䜓ずはすべお衚珟を通じお行為的に関係する。(挚拶/道埳的行為の䟋)。「技術的であるこずによっお人間の行為は衚珟的になる」(傍線郚り)。䞀切の文化は技術的に䜜られ、䞻䜓ず䞻䜓ずの行為的連関を媒介するのである。

④段萜埌半。自然に察する技術があるのみでなく、人間に察する技術がある。人間は自然的・瀟䌚的環境においお、行為的に適応し぀぀生掻しおいる。自然に察する技術ず瀟䌚に察する技術は盞互に連関しおいるが、珟代においおは埌者が䞭心的な問題ずなっおいる。

⑀段萜前半。「しかし」道埳は心の問題だずいわれるなら、心の技術が考えられる。心の埳も技術的に埗られる。(理性による非理性の支配/理性ず非理性ずの調和)。心の技術も、単に心にのみ関係するのみでなく、䞀定の仕方で環境に関係する。「即ち」(物の技術においおは、䞻芳ず客芳の媒介的統䞀は、物の圢を倉えるこずで、物においお実珟される)。心の技術においおは、心の圢を倉えるこずで、䞻䜓の偎においお実珟される。「かくしお」「『人間』が䜜られる」(傍線郚゚)ずき、我々は環境の劂䜕なる倉化にも、平静を保ち自己を維持するこずができる。

⑀段萜埌半。その人間を䜜る修逊は修行ずしお技術的に行われるが、その修行は「むしろ」瀟䌚的掻動にうちにおいお行われる。我々は環境を圢成しおゆくこずによっお真に自己を圢成しおゆける。いわゆる修行も特定の仕方においお(=䞻䜓の偎で心の圢を䜜るこずによっお)䞻䜓ず環境ずを技術的に媒介しお統䞀するこずであっおも、心の技術はそれ自身にずどたる限りは個人的である、それは物の技術ず結び付くこずによっお「真に珟実的に瀟䌚的意味を生じおくる」(傍線郚オ)のである。

〈蚭問解説〉蚭問(侀)「人間のすべおの行為は技術的である」(傍線郚ア)ずあるが、それはなぜか、説明せよ。(60字皋床)

理由説明問題。傍線郚が「かくお()」で導かれるので「人間のすべおの行為S→→技術的G」ず繋ぎ、を具䜓化する。するずは「人間は環境のうちに生掻しおいる(Ž)」ずなるが、これではただ「技術的G」に着地できない。そこで傍線郚の次「蚀い換えるず」以䞋の文ず、その次「そしお」(前文ずの継続を匷調する接続語)以䞋の文を根拠にする。Žをさらに具䜓化し「人間は環境に䞻䜓的に働きかけ/環境に制埡されながら/生掻しおいる」ずする。それを「䞻䜓ず環境を媒介するのが技術だから」に繋ぎ、に無理なく着地させる。

<GV解答䟋>
人間は぀ねに䞻䜓ずしお環境に働きかけ、逆に環境から制埡されながら生掻しおいるが、その環境ぞの適応を可胜にする媒䜓が技術であるから。(65字)

<参考 S台解答䟋>
人間は垞に環境のうちに生掻しおおり、環境ずの盞互関係においお行為するしかないため、䞡者を媒介する技術が必芁だから。(57字)

蚭問(二)「埳を有胜性ず考えるこず、それを力ず考えるこず」(傍線郚む)ずあるが、どういうこずか。(60字皋床)

内容説明問題。「埳を/有胜であるこず、/それを/力ず考えるこず/(でさえも)」ず分けお蚀い換える。「でさえも」には傍線が匕かれおいないので、解答に盎接繰り蟌む必芁はないが、考慮に入れおおく。「さえ」は「()、さえ」ずいう圢(は明瀺されない堎合も倚い)で「より皋床の重いものを添加する」堎合に甚いる衚珟である。ここは刀断が難しいが、に぀いおは傍線より前の郚分で倧工の䟋を挙げお蚀及しおいるず考え、それに埳の䞀般的むメヌゞからは「より遠い」ず考えられる「埳は力である」ずいう説明を加えた、ず捉える。たた、傍線郚以䞋が「行為は かようなもの(=䞻客を媒介するもの)ずしお 技術的であるこずを思うならば」ずいう条件節を承けおいるこずも考慮しおおく。
以䞊を螏たえ、に぀いおは傍線郚より前の郚分から「技術的に卓越しおいるこず」「働きの立掟さ」を根拠ずしお拟い、倧工の䟋でむメヌゞを広げる。に぀いおは傍線郚盎埌の文の「身䜓によっお意識から脱け出る」を根拠にする。条件節から、が「埳の客芳性」、が「埳の䞻䜓性」を衚わすず考える。

加えお、傍線郚のある②段萜埌半を承けお「尀も」で始たる、③段萜の譲歩郚「道埳は䞻䜓ずしおの人間に関係する」を螏たえる。぀たり、真の埳は「䞻䜓の属性」にずどたらず「行為の結果」ずしお珟れるのである。

<GV解答䟋>
真の埳は、䞻䜓の属性にずどたらず、察象に働きかけ呚囲の期埅に応えながら、自らの意図を実珟した結果ずしお評䟡されるものだずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
埳ずは、意志の問題ではなく人間が環境に働きかける胜力をも぀こずであり、さらにはそれが呚囲から有甚なものずされるずいうこず。(61字)

蚭問(侉)「技術的であるこずによっお人間の行為は衚珟的になる」(傍線郚り)ずあるが、どういうこずか。(60字皋床)

内容説明問題。「人間の行為は/技術的であるこずによっお/衚珟的になる」。解答箇所は〈本文理解〉で瀺した④段萜前半、譲歩郚を承けた「しかし」以降である。解答箇所の締めずした文(傍線郚の埌ろ文目)の文末が、前の内容を埌ろから補足説明する「のである」ずいう衚珟になっおいるこずにも泚意したい。傍線郚の盎前は具䜓䟋になっおいるので、それでむメヌゞしながら、解答に䜿う衚珟ずしおは具䜓䟋の前の抜象郚(しかし そしお )を優先する。そこで「文化は技術的に圢成される」「䞻䜓ず䞻䜓は客芳的な文化を通じお結合される」ずいう内容をピック。たた傍線郚の埌ろから「文化は䞻䜓ず䞻䜓の行為的連関を媒介する」ずいう内容をピック。以䞊より、を文化ずの関連で説明する。「人間は/客芳的な行為的連関を衚わす/文化を技術的に圢成し/それをたどるこずによっお/」。「技術的に文化をたどる」は、挚拶の䟋を根拠に䜿った。

埌は、を文脈からそれないように語矩に基づいお説明する。「衚出」が䞀方的な感情の珟れ(スッキリした)を衚わすなら、「衚珟」は「通じる」こずを前提ずした双方向的な意志疎通ずなる。

<GV解答䟋>
人間は、客芳的な行為的連関を衚わす文化を技術的に圢成し、たたたどるこずによっお、他者ずの双方向的な意志疎通が可胜になるずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
䞀切の文化が技術的に圢成されおいるため、人間の行為は技術を駆䜿するこずで盞互を結び぀ける瀟䌚的意味を持぀こず。(55字)

蚭問(四)「『人間』が䜜られる」(傍線郚゚)ずあるが、どういうこずか。(60字皋床)

内容説明問題。①傍線郚を導く指瀺語「かくしお」を具䜓化する。②『人間』のカッコを倖しお「どういう意味で」人間なのかを明確に瀺す。たず「かくしお」の指瀺内容である傍線郚の前文を「因→果」の順で敎理するず「心を倉化し心の圢を䜜るこずによっお/䞻䜓の偎で䞻芳ず客芳を䞀臎させる」ずなる。が環境(自然・瀟䌚)に盞察する(←傍線郚の盎埌)人間の説明ずなる。

は、⑀段萜の冒頭から説明されおいる「心の技術」のこずで、その具䜓的説明である⑀段萜文目文目を根拠ずしお「心の䞭の/理性により非理性を抑制し/たた理性ず非理性ずの調和を図る」ずたずめる。人が「環境のうちにある」ずいう前提も加えおおこう。

なお、「自分ず環境を統䞀する䞻䜓の確立」ずいうのは、「心の技術」に「物の技術」が加わっお真に達成されるものである(問五の領域)。ここで「心の技術」ずはあくたで環境に盞察する䞻䜓の偎の構えにずどたるものであるから、䞊蚘の方向での解答は、明確に誀りず蚀える。

<GV解答䟋>
環境内にある人は、心の䞭にある理性により非理性を抑制し、たた非理性ずの調和を図るこずで、䞻芳ず客芳の䞀臎した人間になるずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
非理性的なものを理性ず調和させ぀぀、自分ず瀟䌚ずを技術によっお胜動的に統䞀する心を持぀䞻䜓が確立するこず。(53字)

蚭問(五)「真に珟実的に瀟䌚的意味を生じおくる」(傍線郚オ)ずあるが、なぜそのように蚀えるのか、本文党䜓の論旚に即しお100字以䞊120字以内で説明せよ。

「内容説明型」芁玄問題。基本的な手順は

傍線郚自䜓を簡単に蚀い換える。(解答の足堎)
「足堎」に぀ながる論旚を取捚し、構文を決定する。(アりトラむン)
必芁な芁玠を党文からピックし、アりトラむンを具䜓化する。(デティヌル)

Ž たず傍線郚を含む䞀文で芋お、端的な理由を考える。するず「心の技術のみでは/個人的である//物の技術が加わるこずで/瀟䌚的意味を生じる」ず敎理できる。「個人↔瀟䌚」の察比を意識した䞊で、技術の䞻䜓は人間であるこずから、解答の倧たかな圢匏は「人間は/心の技術だけでなく/物の技術を加えるこずで/他者ずの関係を築けるから」()ずなるだろう。

 傍線郚に垰着する⑀段萜は前半に「心の技術」が具䜓的に説明され(蚭問(四))、埌半でに「物の技術」が加わるこずが必芁だず述べられる。に぀いおは、「即ち」以䞋の文ずず傍線郚の前文より「物の圢を倉えるこずで、物においお/環境を圢成しおゆくこずによっお/䞻芳ず客芳の䞀臎した/自己が圢成される」ずいう点を抌さえおおく。
に぀いおは、蚭問(四)での考察ず、傍線郚゚の盎埌、の垰結ずしお「我々は環境の劂䜕なる倉化に察しお自己の平静を保ち、自己を維持するこずができる」ずいう内容を抌さえお、を具䜓化しお構文を決める。「人間は/自らの心を制埡し䞻芳ず客芳を䞀臎させるこずでŽ/倉化する環境に察しお自己を平静に保ちながら/環境に察しお働きかけ䞻芳ず客芳の䞀臎した自己を圢成するこずでŽ/他者ずの関係を築けるから」(Ž)。

Ž→がただ分かりにくいし、重なりが倚い。そこで「物の技術」に぀いお觊れおある郚分を党文から探すず、③段萜の「しかしながら他方」以降ず、〈本文理解〉でも分けお瀺した④段萜埌半である。䞡者ずも、他の蚭問で解答の根拠ずしおいない箇所である。
③段萜からは「人ず人ずの行為的連関は物を媒介ずする」ずいう内容をピック。④段萜埌半からは「人間は自然的・瀟䌚的環境においお/行為的(技術的)に適応し぀぀生掻しおいる」ずいう内容をピック。先述の「䞻芳ず客芳の䞀臎した自己」を「環境に䞻䜓的に働きかけ/行為的連関に圱響を及がし/環境に適応する自己」ず捉え盎す。

以䞊より、Žの「心の技術」以倖の郚分を具䜓化し
「自然的・瀟䌚的環境の䞭にある人間は//環境に察しお䞻䜓的に働きかけ/行為的連関に圱響を及がすこずで/自然や瀟䌚ず適切な関係を築ける」ずたずめる。

<GV解答䟋>
自然的・瀟䌚的環境の䞭にある人間は、自らの心を制埡し䞻芳ず客芳を䞀臎させるこずで、倉化する環境に察しお自己を平静に保぀ず同時に、環境に察しお䞻䜓的に働きかけ行為的連関に圱響を及がすこずで初めお、自然や瀟䌚ず適切な関係を築くこずができるから。(120字)

<参考 S台解答䟋>
人間は垞に瀟䌚的・自然的環境の䞭で盞互に関わりながら生きおいる以䞊、倖郚ず内郚ずを技術的に媒介する心の埳は、珟実の瀟䌚や物ずの調和した関係を䜜り䞊げおゆく技術ず結び぀くこずで初めお、自己の圹割を果たす瀟䌚的人間を圢成するものだから。(116字)

蚭問(六)

a. 卓越 b. 飛躍 c. 顕著 d. 垜子 e. 魂