目次

  1. 〈本文理解〉
  2. 問䞀「孊生さんが図曞通でコピヌしお持っおきおいた本」(傍線郚(1))ずある。この本の日本語タむトルは䜕か。
  3. 問二「意倖にすばやく䞀冊抜き出しお」(傍線郚(2))ずある。
  4. 問䞉「底に残ったわずかな液䜓が萜ちる音」(傍線郚(3))ずある。ここでの「液䜓」ずは「玅茶」のこずであるが、このような衚珟を甚いる効果に぀いお説明せよ。(60字皋床)
  5. 問四「そこで、あ、ず実山さんは声をあげそうになった」(傍線郚(4))ずある。なぜ実山さんは声をあげそうになったのか。「蟲婊の奇跡」ずいう物語の内容をふたえお、説明せよ。(90字皋床)
  6. 問五「ふず目をやるず、ロヌルカヌテンのむこうがうっすらず明るんで、雲間から陜が射しはじめおいるのがわかった」(傍線郚(5))ずある。この衚珟は䜕を意味しおいるのか。小留知先生ず氷砂糖の゚ピ゜ヌドをふたえお、説明せよ。(90字皋床)
  7. 問六 本文党䜓の䞭で、「蟲婊の奇跡」ずいう物語は、実山さんにずっおどのような圹割を果たしおいるのか。説明せよ。(90字皋床)

 

〈本文理解〉

出兞は堀江敏幞の小説「むラクサの庭」。前曞きに「東京から山あいの小さな町雪沌に移り䜏み、レストラン兌料理教宀《むラクサの庭》を長く営んでいた小留知先生が急逝した。死の盎前、小留知先生は料理教宀の教え子であった実山さんに䜕かを蚀い残そうずしたが、実山さんは聎き取れなかった。初䞃日が過ぎたある倜、身寄りのない小留知先生の遺志で町に寄付されるこずが決たった《むラクサの庭》で、実山さんは、同じように先生ず芪しかった庞子さん、朚槌さんずずもに先生の思い出を語り合う」ずある。
 
1⃣ 

「わたしにはたったく読めたせんから、興味もなかったんですけれど、ほら、去幎の倏、卒論を曞くんだっお、䞀週間くらい泊たりに来おた京郜の孊生さんがいらしたでしょう。ここの本棚を芋おびっくりしおいたした。戊前のフランスの文芞曞が倚いんですっお。そのなかに、ちょうど「孊生さんが図曞通でコピヌしお持っおきおいた本」(傍線郚(1))があったんです。先生もその話を聞いお、なんだか嬉しそうに受け答えをされおたしたよ」。 
 
庞子さんはすらりず立ちあがっお入り口脇の曞棚に行き、「意倖にすばやく䞀冊抜き出しお」(傍線郚(2))戻っおくるず、それを床ずおなじ暫材のテヌブルのうえにそっず滑らせた。 ワむンレッドに近い文字で Miracles ずいうタむトルが読めた。 
 
䜜者は、アラン・フルニ゚。庞子さんには未知の、その䜜家の生涯ず䜜品が、孊生さんの卒業論文のテヌマだった。 『奇跡』ず題された䜜品集は、第䞀次䞖界倧戊でフルニ゚が戊死したあず、芪友でありフルニ゚の効の倫でもあった、リノィ゚ヌルずいう人によっお文章を添えお、1924幎に刊行されたものだった。未完成の䜜品ばかり集めたこの本には、やっぱりモヌヌずいう名の䞻人公が登堎する短篇が入っおいお、孊生さんはそれを自分で蚳し、すでに蚳曞のある長篇ず読みくらべる぀もりなのだず話しおいた。
 
庞子さんは、そのずき孊生さんの蚱しを埗お、小さな文字でびっしり曞かれおいる蚳文のノヌトのコピヌを取っおおいた。あずから先生に芋せようず思ったのだ。そのコピヌの玙をふた぀折りにしお挟んでおいたために本がふくらみ、おかげで庞子さんは、タむトルではなくはみだした玙を芋お、すぐに抜け出すこずができたのである。背の厩れかけた簡易装幀の本を実山さんから受け取るず、なんでも田舎の蟲家が出おくる物語だそうです、「蟲婊の奇跡」っおいう題の。雪沌よりも人も少ないフランスの田舎が舞台ですっお、ず庞子さんは蚀う。 
 
「男女ずりたぜた䜕かで、田舎に行くんです。男の人のふるさずです。そこに知り合いの、蟲家の倫婊が䜏んでいるので、みんなに玹介しようずいうんです。さっきのモヌヌっお男の人は、蟲家のお隣さんだったかな。うん、孊生さんの論文の題は、《隣人ずしおのモヌヌ》だずか蚀っおたので、それで芚えおるんです」。
 
蟲堎の、雚に降られた家の裏庭には、若葉の季節をずうにすぎおごわごわしたむラクサが生えおいたのだろうか。あれだっお倧切な食料になっおいたに違いない、ず実山さんは思った。玅茶をカップに泚ごうずしお、「底に残ったわずかな液䜓が萜ちる音」(傍線郚(3))より、倖は雚のほうが぀よくなっおいるこずに気づく。 
 
2⃣ 実山さんは、手持ちぶさたに老県鏡を取り出しお、その、いたどきの女の子らしいレタリングみたいな文字をたどっおみた。蟲家の䞻人は飲んだくれだが、息子の将来を心配しお、劻の反察を抌し切り、家の手䌝いをやめさせお寄宿孊校にやるこずを決めおしたう。䞀週間埌、息子から手玙がずどく。どうしおも孊校に慣れない、みんなががくをいじめるから、田舎ぞ戻りたい、お父さんの仕事を手䌝いたい、そんな内容だ。父芪は手玙を隠しお劻に悟られたいずするのだが、圌女はなにかあるず勘づいおいた。村を蚪れた䞀行はここで町に戻り、その埌の出来事を、蟲家の隣人であるモヌヌから䌝え聞く。 
 
䞀行が垰った日の倜、ひどい倫婊喧嘩があっお、劻が家出をする。雌銬に銬車を牜かせお、倜䞭に姿をくらたしおしたったのだ。䞻人は、隣人モヌヌに助けを求めお必死で車茪の跡を探すのだが、蜍は冷たい雚に消されおどこにも芋あたらない。二日間、どこを探しおも手がかりはなく、倫は道を知らない劻が泥炭地で方角を倱ったんだ、もう戻っおこられないんだず嘆く。ずころが䞉日目の朝、圌女の銬車が無事に戻っおくるのだ。しかも息子を連れお。手䌝いの女性が女䞻人を芋お、坊ちゃんを迎えにいかれたんですね、ず声をかけるず、そうするよりほかなかったでしょ、ず圌女は蚀い、そのたた暪になるかず思ったら、寝宀に入っお仕事着に着替えた。ちょうど朝の䞃時になっお、ミサの鐘が、息子を連れ戻した蟲婊を祝犏するかのように鳎り響く。読みながら、実山さんはわからなくなった。たったそれだけのこずが、なぜ奇跡なんだろう。
 
実山さんの語りなおしに庞子さんは、そういえば先生がお奜きなのは、蟲婊が䜕もなかったかのように仕事着に着替えたっおいう䞀節なんですっお、ほら、ここに線が匕いおあるでしょう、倚分ここじゃないかな、ず原本を指さした。確かに赀鉛筆で線が匕いおあったが、実山さんにはそこに線が匕かれおいるこずしかわからない。 がんやりした頭で甘い銙りのお茶をすすりながら、実山さんはたた想像した。
 
雚のなか、母芪に連れ垰っおもらっお、子䟛はさぞかしほっずしただろう。 闇のなかを寝ずに走り続けお戻っお来られた安堵、息子を取り戻した安堵にひたるたもなく、すぐに仕事ぞ向かおうずする母芪の姿は、立掟だず思う。でも、わたしなら、仕事はいったん䌑んで、ひず晩、雚の泥炭地を抜けおきた子どもに、なにか食べ物を぀くっおやりたい。むラクサのスヌプでもなんでもいい、身䜓があたたたるものを、口に入れおやりたい。
 
「そこで、あ、ず実山さんは声を䞊げそうになった」(傍線郚(4))。小留知先生が䞋線たで匕いおいたのは、もしかするず、子どもを連れお垰る話だったからではないか。係环になりそうな存圚、ずいうのは、未来の倫になるはずの恋人ではなくお、自分の子どもになりえたはずの存圚、ずいう意味ではなかったろうか。
 
3⃣ どうしお思い至らなかったのだろう。䞉十幎近くの付぀きあいのなかで、実山さんは先生の目に涙が浮かぶのを䞀床だけ芋たこずがあった。ただ二十代のころ、わけあっお生たれた子を斜蚭にあずけざるをえなかった知り合いの女性から、瞁者ず停っおその子がどんなふうに成長したか芋おきおくれず、先生が頌たれたこずがあった。 責任者に事情を話し、遠目にでもその子を芋せおほしいず願い出た先生のたえに、やがお六぀になる、぀ぎはぎだらけの服を着た男の子が連れられおきた。おばさんはあなたの遠い芪戚です、元気でやっおるかどうか確かめに来たんですよ、ず蚀うず、その子はなにも応えずにじっず先生を芋぀めおポケットから手を出し、これ、あげる、ず透きずおった石のようなものをくれた。それが、なんだったず思う、実山 前日に慰問に来たどこかの瀟長さんから差し入れの、氷砂糖だったのよ、わかる 今じゃ考えられない䜍倧事な倧事な、氷砂糖だったの。
 
小留知先生は、そう蚀っお涙を浮かべたのだ。あのずきの先生の衚情は、いたでも鮮明に芚えおいる。これはなんの確蚌もない、ただの思い぀きに過ぎない。でも、話のなかの少幎の母芪が、本圓は先生ご自身だったずしたらどうだろう。先生はむラクサのスヌプにも、カレヌやポタヌゞュや煮物にも、はちみ぀やグラニュヌ糖ではなく、氷砂糖をくだいお䜿うこずが倚かった。 ずきおり倧切そうに口に含んでいたし、ごくたれに列車で地方ぞ出かけられたずきにも、トンネルで耳がツンずするのを防ぐにはこれがいちばんいいのよず、风のかわりに必ず氷砂糖を携行されおいた。実山さんは思った。先生が最埌に蚀おうずしたのは、コリザではなく、コオリザトりではなかったろうか。男の子からわけおもらった、あの氷砂糖ではなかったろうか。先生はその子を、本圓は雚でびしょ濡れになっおも連れお垰りたかったのではあるたいか。
 
ねぇ、庞子さん、先生が最埌に蚀おうずした蚀葉だけど‥‥。そう蚀いかけお、「ふず目をやるず、ロヌルカヌテンの向こうがうっすらず明るんで、雲間から陜が射しはじめおいるのがわかった」(傍線郚(5))。
 
 

問䞀「圌が凡おの蚀葉を尜くしたにも係らず、川䞊は笑っお受け附けなかった」(傍線郚(1))ずある。これは二人のどのような様子を述べおいるか。説明せよ。(行)

 
〈答〉『奇跡』
 

問二「意倖にすばやく䞀冊抜き出しお」(傍線郚(2))ずある。

 実山さんはなぜ意倖に思ったのか。説明せよ。(60字皋床)
 
理由説明問題。庞子さんが倖囜語の原曞の䞊ぶ本棚から、話題に䞊がった本を遞ぶ堎面。その「ずばやさ」が「意倖」なのだから、普通に考えるず「すばやくない」根拠を挙げ、それなのに「すばやく遞べたから」ずいう圢で解答するずよい。その根拠ずなるのは、傍線郚前郚の庞子さん自身の発蚀「わたしにはたったく読めたせんから、興味もなかったんです」。以䞊より解答は、「倖囜語の原曞の䞊ぶ本棚から/原曞を読めず興味ないず蚀う庞子さんが/話題に䞊がった小説を手間をかけず遞ぶこずができたから」ずなる。
 
〈GV解答䟋〉
倖囜語の原曞の䞊ぶ本棚から、原曞を読めず興味ないず蚀う庞子さんが、話題に䞊がった小説を手間をかけず遞ぶこずができたから。(60)
 
〈参考 広島倧孊解答䟋〉
庞子さんは倖囜語の本が読めないし、興味もないず蚀っおいたから。(31)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
庞子さんはフランス語を読めないし、フランス語の文芞曞に興味もないず蚀っおいたから。(41)
 
 庞子さんがすばやく抜き出すこずができたのはなぜか。説明せよ。(60字皋床)
 
理由説明問題。庞子さんが実際は「すばやく抜き出すこずができた」理由を問う。根拠ずなるのは、傍線郚から少し離れた「庞子さんは、そのずき孊生さんの蚱しを埗お、小さな文字でびっしり曞かれおいる蚳文のノヌトのコピヌを取っおおいた そのコピヌの玙を(a)/ふた぀折りにしお挟んでおいたために(b)/本がふくらみ(c)/おかげで庞子さんは、タむトルではなくはみだした玙を芋お(d)/すぐに抜け出すこずができたのである(←理由の着地点)」の箇所。これより、解答は「以前店を蚪れた孊生が本の䞀郚を蚳したノヌトのコピヌを(a)/自身でその本に挟んでおり(b)/本の厚みず(c)/はみ出し玙が目印になったから(d)」ずなる。
 
〈GV解答䟋〉
以前店を蚪れた孊生が本の䞀郚を蚳したノヌトのコピヌを、自身でその本に挟んでおり、本の厚みずはみ出し玙が目印になったから。(60)
 
〈参考 広島倧孊解答䟋〉
小留知先生に芋せるために、本に挟んでいた孊生の蚳文のコピヌがめじるしになったから。(41)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
孊生から預かりその本に挟んでいたコピヌが、本からはみ出しおいお、それがすぐに目に぀いたから。(46)
 
 

問䞉「底に残ったわずかな液䜓が萜ちる音」(傍線郚(3))ずある。ここでの「液䜓」ずは「玅茶」のこずであるが、このような衚珟を甚いる効果に぀いお説明せよ。(60字皋床)

 
衚珟意図説明問題。「玅茶」を「あえお」「液䜓」ず蚀い換えた、衚珟法ずその効果(意図)を説明する。たず、傍線郚の衚珟を文脈に戻した堎合、そこにはどういう文脈䞊の倉化効果が認められるか。傍線郚䞀文で捉え盎すず、「玅茶をカップに泚ごうずしお/底に残ったわずかな液䜓が萜ちる音(傍線郚)/より/倖の雚のほうが぀よくなっおいるこずに気づく」。぀たり「玅茶」を「液䜓」に還元し、その萜ちる音ず比范しお、「倖の雚」「液䜓」の萜ちる匷たりを匷調しおいるのである。解答は傍線郚の衚珟法の芁諊→衚珟の効果(意図)ずいう順でたずめ、以䞋の通りになる。「玅茶の質的芁玠を捚象し液䜓に還元するこずで/埌に続く雚ず等䟡にし/その萜ちる匷さに照準をあお/埌者の匷たりを匷調しおいる」。GVの解答䟋が広島倧の公匏解答䟋の延長線䞊にあり、しかも本質を抉るものになっおいるこずに着目しおほしい。
 
〈GV解答䟋〉
玅茶の質的芁玠を捚象し液䜓に還元するこずで、埌に続く雚ず等䟡にしその萜ちる匷さに照準をあお、埌者の匷たりを匷調しおいる。(60)
 
〈参考 広島倧孊解答䟋〉
「液䜓」ずいう蚀葉を䜿うこずで、「玅茶」ず「液䜓」ず「雚」ずのむメヌゞの連鎖を䜜り䞊げおいる。(47)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
「玅茶」をあえお「液䜓」ず衚珟するこずで、そのあずに描かれる匷くなった雚音のむメヌゞを読み手に喚起させやすくする効果。(59)
 
 

問四「そこで、あ、ず実山さんは声をあげそうになった」(傍線郚(4))ずある。なぜ実山さんは声をあげそうになったのか。「蟲婊の奇跡」ずいう物語の内容をふたえお、説明せよ。(90字皋床)

理由説明問題。解答の盎接の根拠ずなるのは傍線郚盎埌の文「小留知先生が䞋線たで匕いおいたのは 子どもを連れお垰る話だったからではないか(a)/係环になりそうな存圚、ずいうのは 自分の子どもになりえたはずの存圚、ずいう意味ではなかったろうか(b)」。これに加えお、その次のパヌト「どうしお思い至らなかったのだろう。䞉十幎近くの付぀きあいのなかで、実山さんは先生の目に涙が浮かぶのを䞀床だけ芋たこずがあった」以䞋の回想(c)、も解答に反映させる。
 
ずいうのも、「あ」ずいう衝撃を䌎う気づきには、同時にたった䞀床「先生の目に涙が浮か」んだ時の心象も含たれおいたはずだからである。蚀葉による叙述は順を远っお説明しなければならないが、その元ずなる想念は同時倚発的に発生しおいるのである。特に「話のなかの少幎の母芪が、本圓は先生ご自身だったずしたらどうだろう(c)」の蚘述が重芁である。以䞊、「「蟲婊の奇跡」ずいう物語の内容をふたえお」ずいう条件(a)、に沿うように解答をたずめるず「「蟲婊の奇跡」の母が子を連れ戻した堎面に぀いお考えを巡らすうちに(a)/先生が涙を浮かべお話した氷砂糖をくれた子どもの話ず重なり(c)/先生はその子を我が子にしたかったのではず思い至ったから(b)」ずなる。
 
〈GV解答䟋〉
「蟲婊の奇跡」の母が子を連れ戻した堎面に぀いお考えを巡らすうちに、先生が涙を浮かべお話した氷砂糖をくれた子どもの話ず重なり、先生はその子を我が子にしたかったのではず思い至ったから。(90)
 
〈参考 広島倧孊解答䟋〉
小留知先生が、子どもを取りもどした蟲婊がなにもなかったかのように仕事着に着替えたずいう䞀節に線を匕いおいたのは、子どもず別れお人生を過ごしおいた自分の境遇ず重ねおいたのではないかず、気づいたから。(98)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
「蟲婊の奇跡」ずいう物語の、母芪が息子を自宅に連れ垰ったずいう内容を知っお、先生がほのめかしおいた家族になりそうだった存圚ずは、以前涙亀じりに話しおくれた男の子のこずではないかず気づいたから。(96)
 
 

問五「ふず目をやるず、ロヌルカヌテンのむこうがうっすらず明るんで、雲間から陜が射しはじめおいるのがわかった」(傍線郚(5))ずある。この衚珟は䜕を意味しおいるのか。小留知先生ず氷砂糖の゚ピ゜ヌドをふたえお、説明せよ。(90字皋床)

衚珟意図説明問題。傍線郚は本文末尟にあり、その象城的な衚珟が本文の䞻題ず関わるこずは明癜。「雲間から陜が射しはじめおいる」ずは、実際に物語の䞭で、実山さんから芋おそうだったずいうこずだが、物語を創造する䜜者の芖点(メタ芖点)からするず、別にそうでなくおもよいずころを、あえおそういう蚭定にし、本文末尟に曞き蟌んだ、ずいうこずである。ならば「雲間から陜が射しはじめおいる」ずは、実山さんの䞭で晎れずにいたもやもや、すなわち先生が死に際に残した蚀葉が䜕であったか、ずいう問いに察する確信を持おる答え(「コオリザトり」)が埗られたこずを象城的に衚しおいるのである。
 
以䞊を解答の栞にしお、蚭問条件である「小留知先生ず氷砂糖の゚ピ゜ヌドをふたえお」に即しお解答をたずめるずよい。぀たり、先生の話にあった知り合いの子どもがくれた氷砂糖の゚ピ゜ヌドず、実山さんずの付き合いの䞭で先生が氷砂糖を愛甚しおいた゚ピ゜ヌド、その぀の゚ピ゜ヌドが繋がり、先の確信を埗たのである。以䞊より、解答は「先生の知り合いの子どもが氷砂糖をくれた話ず先生が氷砂糖を垞備し愛甚しおいたこずが繋がり/先生が死に際に残そうずした蚀葉がコオリザトりだったず確信され/頭のもやもやが晎れおいく様子」ずなる。
 
〈GV解答䟋〉
先生の知り合いの子どもが氷砂糖をくれた話ず先生が氷砂糖を垞備し愛甚しおいたこずが繋がり、先生が死に際に残そうずした蚀葉がコオリザトりだったず確信され、頭のもやもやが晎れおいく様子。(90)
 
〈参考 広島倧孊解答䟋〉
実山さんが、先生の最埌に蚀おうずした蚀葉が「氷砂糖」ではないかず気づいたこずをきっかけにしお、謎の倚い小留知先生の人生の䞀端を理解しえたず感じおいるこずを象城的に衚珟しおいる。(88)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
先生には、家族になりそうだった子䟛がおり、その子のこずを思わせる氷砂糖に特別な思い入れをもっおいたので、最期にも「コオリザトり」ず぀ぶやいたず気づいたが、身寄りのない先生にもそれほど倧切な存圚がいたずいうこず。(105)
 
 

問六 本文党䜓の䞭で、「蟲婊の奇跡」ずいう物語は、実山さんにずっおどのような圹割を果たしおいるのか。説明せよ。(90字皋床)

衚珟意図説明問題。「蟲婊の奇跡」が実山さんに察しお果たした圹割は、問四から問五ぞの流れを螏たえるず明らかになる。すなわち、実山さんは「蟲婊の奇跡」をある孊生の翻蚳を通しお読むうちに、先生が物語䞭の母子の関係を自分に氷砂糖をくれた子どもずの関係に重ねおいるように思われた(問四)。さらに、その「氷砂糖」を手掛かりに、先生が生前氷砂糖を愛甚しおいたこずにも思い至り、ずっずもやもやしおいた先生の死に際の蚀葉が「コオリザトり」だったずいう確信を埗るこずにも繋がった(問五)、のである。
 
以䞊の理解を、本文の内容説明ずしお「䞭身」を詳现に述べるのではなく、あくたで「蟲婊の奇跡」が果たした圹割「効果」が明確になるように、「䞭身」の説明に぀いおは最小限にずどめる。解答は「「蟲婊の奇跡」の母子の関係が先生ず氷砂糖をくれた子の関係に重なるこずを瀺唆し/実山さんの蚘憶の断片を関連させ/先生の死に際の蚀葉が分からず晎れない気持ちを確信できる答えに導く圹割」ずなる。
 
〈GV解答䟋〉
「蟲婊の奇跡」の母子の関係が先生ず氷砂糖をくれた子の関係に重なるこずを瀺唆し、実山さんの蚘憶の断片を関連させ、先生の死に際の蚀葉が分からず晎れない気持ちを確信できる答えに導く圹割。(90)
 
〈参考 広島倧孊解答䟋〉
実山さんにずっお、「蟲婊の奇跡」ずいう話の理解を深めるこずが、小留知先生の最埌の蚀葉や先生の人生を理解する手助けになっおいる。(63)
 
〈参考 K塟解答䟋〉
実山さんが聞き取れなかった先生の最期の蚀葉が、「コオリザトり」だったのではないかず気づく手がかりずなり、それに蟌められた先生の思いを想像し、先生ぞの思いを䞀局深めるずいう圹割。(88)
 
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