問三 以下の文章を読んで、モンテスキューの権力分立論の独自性とその後世への影響について論ぜよ。「自由とは、法の許す限りにおいて、すべてのことを成す権利である。」(モンテスキュー)(400字以内)

 

〈GV解答例〉
フランスの啓蒙思想家モンテスキューは、18世紀のイギリス議会政治やその擁護者であるロックの権力分立論に着想を得て『法の精神』を著した。彼の権力分立論は、王の執行権から立法権を分離し議会に帰属させたロックの二権分立論に比して、立法権・執行権(行政権)から裁判所の司法権を独立させた点、厳格な三権分立である点、三権の抑制と均衡による民衆の権利の擁護を企図した点に独自性がみられる。とくに特権階級支配が苛烈を極めたフランスにおいて、彼は司法のチェックによる自由の最適・最大化を図ったのである。彼の思想の影響を受け、1789年に勃発した仏革命に伴い発表された人権宣言は、権力の分立は権利の保障と並び立憲国家の存立要件であると規定した。また、独立後のアメリカの政体は彼の厳格な三権分立を最も色濃く反映し、立法府や行政府の出す法令の妥当性を憲法に基づき裁判所が判定する違憲法令審査権も彼の法思想の延長上にあると言える。(400字)

 

〈ChatGPTくんの答え〉
モンテスキューの権力分立論は、権力の集中が個人の自由を侵害することを防ぐために、立法、行政、司法の三権に分けて相互に制約し合うことを提唱しました。この理論の独自性は、権力のチェックアンドバランスを明確に示し、イギリスの政治体制を例に歴史的および比較的アプローチを採用した点、さらに地域の気候や風土、文化に応じた政治体制の多様性を認めた点にあります。その後、モンテスキューの権力分立論はアメリカ合衆国憲法に直接的に取り入れられ、フランス革命期の『人間と市民の権利宣言』でも重要視されました。今日、多くの民主主義国家がこの原則を基礎にした政治制度を採用し、権力の集中を防ぎ、個人の自由と権利を守るための普遍的な原則として広く定着しています。

 

問四 真理とはどういうものであり、また真理はどのようにして獲得できるか。ベーコンとキルケゴールの考えをそれぞれ説明せよ。(400字以内)

 

〈GV解答例〉
イギリス経験論の祖で「知は力なり」を掲げたベーコンの立場によると、真理は対象に帰属する客観的なもので、そのありのままの姿を明らかにし支配することで人間社会を豊かにできる、ということになる。彼は、個別的な事例を観察して実験を重ねることで、帰納的に一般性のある法則を抽出できるとした。ただし、その際「種族・洞窟・市場・劇場」の四つのイドラを排して虚心に対象に向かう必要がある、とした。一方、実存主義の先駆者キルケゴールは「私がそれのために生き、死にたいと思うようなイデー」としての主体的真理を追究した。この場合、真理は実存に付随して現れる。彼は自身の生に即し、「あれもこれも」の美的実存に絶望し、次に「あれかこれか」の倫理的実存に絶望することで、不条理な存在である神の前に単独者として立つ宗教的実存に達するという実存の三段階を説いた。「死に至る病」である絶望こそが実存を真理に引き上げる、としたのである。(400)

 

〈ChatGPTくんの答え〉
フランシス・ベーコンの考え
フランシス・ベーコン(1561-1626)はイギリスの哲学者で、経験主義を唱えました。彼にとって真理は観察、実験、帰納的推論を通じて獲得されるものです。ベーコンは「イドラ」と呼ばれる先入観や錯覚を排除し、客観的なデータに基づく科学的方法を重視しました。具体的な観察から一般的な法則を導き出し、自然現象の背後にある真理を解明することを目指しました。

 

セーレン・キルケゴールの考え
セーレン・キルケゴール(1813-1855)はデンマークの哲学者で、実存主義の先駆者です。彼は真理を主観的なものと捉え、個人の内面的な経験や信仰を通じてのみ獲得できるとしました。キルケゴールは客観的な事実よりも、個人が自己の存在と向き合う中で得られる真理を重視し、「信仰の飛躍」によって絶対的な真理に到達すると考えました。真理は個人の実存的選択に深く関わっており、自己の生き方が真理の探求に不可欠です。
 
これらの違いは、ベーコンが科学的手法で普遍的真理を求めるのに対し、キルケゴールが個人の主観を通じて個別的真理を探求する点にあります。