【全体の講評】

今年度の問題は昨年度の問題に比べて、やや簡単めと言える。どの問題も教科書に記述のないものはなく、教科書をしっかりと読んで、隅々まで知識を固めておけば無理なく解くことができる。1960から2010年までの事項は手薄になりがちだが、時代的には近現代に関する問いが7割以上を占めており、特に1980年から2010年までの事項は手薄になりがちである。各事項の地図での確認は必要。教科書を細かく読み込むことが、共通テストの世界史の必勝法といえる。

 

【授業の方針】

私は「生徒の得点を上げる」を方針にしているので、共テ対策には無駄なことは省き、教科書レベルの知識の中から必要な物だけを選び出して教える。それに対して私大は共テとは全く別物で、教科書から離れた細かい知識が求められるので、教科書レベルをマスターした上で過去問ベースの授業をする。二次試験は大学ごとに特徴があるので、それに対応した論述の個別演習をする。

 

【大問別 review】

第1問 

問題番号2の地図問題は困惑する受験生もいるかもしれないが、同時期にインドではマウリヤ朝が繁栄していることを考えれば、場所cは容易に除外できる。(*場所cは首都のパータリプトラ) 。アルベラの戦いの前にアレクサンドロス大王がエジプトにアレクサンドリアを建設しているので、場所b(エジプト)はペルシャ領。ペルシャ戦争の発端は小アジア西端のミレトスの反乱。なので小アジアはペルシャ領。どれも教科書に記述あり。問題番号6のアフリカの歴史は苦手な学生が多い。多分、世界史学習項目の順番的には後回しになりがちなのだろう。①のアクスムは、場所を考えれば大西洋ではなく紅海と分かる。②の「ソンガイ王国・トンブクトゥ・大学都市」は「ニジェール川・金・岩塩取引」と一緒にして覚えておくべき知識。③アドワの戦いは19世紀末。④ マンサ・ムーサは黄金で有名なマリの国王。すべて教科書に載っている。

 

第2問 

問題番号8の選択肢にある「アルフレッド大王がデーン人を撃退した」と「オックスフォード大学が創設された(時期)」の正誤は迷うかもしれない。やや難問。問題番号10は、共テらしい問題。つまり、世界史の知識がなくても問題文をよく読めば正解が出る。

 

第3問 

問題番号20は難しめ。正解をだすには選択肢①~⑥に述べられている事項が起きた年代を正確に覚えておく必要がある。※ 例えば③の「農奴解放から3月革命までのあいだに…」は、農奴解放と3月革命の年代を知らないと、表の読み取りができない。したがって、問題20とひもづけられている問題21も正解できなくなる。第4問 世界史では、舞台となる場所の知識は必須。問題番号23でも、「シャルル10世のアルジェリア出兵」は教科書にも載っているが、場所の確認を怠ると正解できない。アルジェリアの位置は「フランスの第5共和世成立(1958)」でも問題にされる。

 

第4問 

世界史では、舞台となる場所の知識は必須。問題番号23でも、「シャルル10世のアルジェリア出兵」は教科書にも載っているが、場所の確認を怠ると正解できない。アルジェリアの位置は「フランスの第5共和世成立(1958)」でも問題にされる。