問 右の文章を要約しなさい(200字以内)。

出典は嶋田珠巳『英語という選択 アイルランドの今』
 
〈GV解答例〉
日本で近年盛んな早期の英語教育導入の議論は、英語が日本に浸透して国民がバイリンガル化した後の視点が抜けている。それまで時間はかかっても、一度完了すると気持ちはどうであれ、社会的な使用価値から英語に傾くことは、かつて英語への言語交替を経験したアイルランドの例からも明らかである。これから日本が登り始めるかもしれない山の反対側のふもとで、民族語への思いを綴るアイルランドの人々の言葉に、いま耳を傾けたい。(200)
 
〈参考 S台解答例〉
アイルランドの言語交替は英語をアイルランド語より上位に置く社会的な価値判断によって生じた。よく似た事態として日本では早期の英語教育導入による国民のバイリンガル化が進められようとしており、将来国民の多くがバイリンガルになったとき、状況によっては英語への言語交替が一気に進行する可能性がある。アイルランドでは現在民族語への思いが高まっており、日本人は現時点でこのアイルランドに教訓を得るべきではないか。(199)
 
〈参考 K塾解答例〉
アイルランドで起きた民族語から英語への言語交替は、英語に将来性を見出す国民の願望によるものである。近年日本でも同様の願望に基づきバイリンガル化を目指す英語教育が志向されているが、日本語は安泰だと思われている。だが日本でも英語を使う頻度が高まり、英語への言語交替が起きる可能性は十分考えられる。とすれば、バイリンガル化による民族語の復興を目指す今のアイルランドの人々の言葉を、私たちは傾聴すべきである。(200)
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
アイルランドでは子供に民族語よりも社会的な価値の高い英語を学ばせたいとの思いから、民族語から英語への言語交替が起こった。近年日本では英語の早期教育により日英のバイリンガルを育てる動きがあるが、それが成功すると、後の世代で日本語の地位が脅かされる恐れがある。アイルランドでは現在、民族語を話したいという思いが強いという。日本の将来の問題点を示唆するものとして、言語交替を経験した人々の声に耳を傾けたい。(200)