〈本文理解〉

出典は青山拓央『心にとって時間とは何か』

問一(漢字の書き取り)

1.若干 2.支度 3.臨終 4.当該 5.慣用 6.素朴 7.

 

 

 

問二「こうした心のさまよい」(傍線部A)がどのような状態を指すのかを30字以内で説明せよ。

〈GV解答例〉
思考が目前の現実から離れ過去や未来、空想の領域に移ろう状態。(30)
 
 
〈参考 S台解答例〉
目の前の現実と関わりのない思考に時間を費やしている状態。(28)
 
 
〈参考 K塾解答例〉
今の現実を見ず過去や未来への雑念や他の空想に耽る散漫な状態。(30)
 
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
目の前の現実と関わりのない雑念や空想に耽っている状態。(27)

問三「『今』というしおりを人生に挟む」(傍線部B)とは具体的にどのような行為のことか、60字以内で説明せよ。

〈GV解答例〉
人生の時間を生きる中で、通過してきた過去を振り返り、また未来を見通すときの足場となる、現在という地点を自ら確認する行為。(60)
 
 
〈参考 S台解答例〉
人生全体をどこまで生きてきたのか不確かに感じるときに、自分が通過し生きてきた諸地点を意識し、自らの位置を明確にする行為。(60)
 
 
〈参考 K塾解答例〉
「今」と呟くことで、「今」がどういう生活の日々を経てきたかを意識し、自分が現在どこに立っているかを自らに明確化する行為。(60)
 
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
「今」とつぶやくことで、その「今」が人生全体のどこに位置しているか、またどのような過去を通過してきたかを自覚する行為。(59)

問四「時間に関してそうした速さを認識するというのは奇妙である」(傍線部C)とあるが、なぜ奇妙なのかについて、60字以内で説明せよ。

〈GV解答例〉
速さの認識とはある特定の時間における運動や変化の量を認識をすることだが、時間はその量を測るための基準点となるものだから。(60)
〈参考 S台解答例〉
速さとは特定の時間における運動や変化の量の認識であり、時間の場合には計る基準と計られる対象との区別ができなくなるから。(59)
〈参考 K塾解答例〉
感覚では捉えられても数量化や可視化できない時間の速さを、特定の時間における運動や変化の量として理解しようとしているから。(60)
〈参考 Yゼミ解答例〉
ある特定の時間を基準とした運動や変化の量が速さの定義であるため、時間それ自体の速さを認識するための基準が存在しないから。(60)

問五「時間が普通に流れること、すなわち、『今』が一倍の速度で時間軸上を移り行くこともまた、認識の内容に無関係」(傍線部D)とあるが、どういうことか。本論の論旨を踏まえて100字以内で説明せよ。

〈GV解答例〉
時間が幾倍かの速さで流れ観測対象も幾倍かで変化しても、観測主体自体も幾倍かで変化するので、変化の速度について何の認識もできないように、時間の速度は主体の認識の内容に影響を及ぼす要因ではないということ。(100)
 
 
〈参考 S台解答例〉
時間の流れの認識とは、個々人の心身の変化比率と他の事物のそれとの相対的なずれによるのであり、時間が普通に流れるとは、そのずれがないことを意味し、時間の流れの認識とは別のものであるということ。(95)
 
 
〈参考 K塾解答例〉
外界の変化に関する経験は時間自体の速度とは関係がなく、人間も時間を客観的に見ることができない以上、「今」が自然に経過しても、「今」が通過することで生きてこられたという人間の認識に影響がないということ。(100)
 
 
〈参考 Yゼミ解答例〉
時間の速度は自らの心身と外界の事物の変化速度の比率によって認識される相対的なもので、客観的な基準がそもそも存在しないため、当然の基準と思っている時間の速度自体が客観的に認識のしえないものだということ。(100)