傾向と対策

共通テストとなって2回目の今年度は、昨年度と同様に、具体的な状況の設定された様々な文章が出題された。全体的に平易な語彙、構文が用いられているが、後半の説明文では数語程度だが、難度の高い語彙(patent, administered, contaminatedなど)も使用されている。また、英文の総語数がさらに増加した。  

 

設問は情報検索能力を試す問題から、概要を理解し要約する能力を試す問題など、幅広い能力を問う問題が各大問で出題された。本文や設問のリード文、選択肢の細部にまで注意を向けなければ正答できないものも多く見られたが、今年度は後者のタイプの問題、つまり、段落レベル、または本文全体の記述を要約したもの(の一部)を選ばせる問題が増加した。  

 

文章と設問の難易度は、第1問から第4問までが昨年度よりも取り組みやすく、第5問は昨年並み、第6問はA、B共に難化した印象を受けた。  

 

各大問ごとに印象的だったことをいくつか取り上げる。

 

第1問

第1問はA、Bとも、これほど簡単なのが珍しいほど解きやすい問題だった。  

 

 第2問

第2問Aの問5、本文のfactに該当するものを選ばせる問題は、本文のWhen watching videos, you need to use your earphones or headphones.から正解にたどり着けるが、正解の選択肢中にはnecessaryという、いかにもopinionであることを匂わせる語が含まれているのが面白い。第2問Bは問4で意見の要約を選ばせ、問5では記事のタイトルを選択させるなど、該当箇所を探す単調な問題ばかりではないことに注意したい。

 

第3問

第3問はAとBの両方にイラストがついているが、共通テストでは無駄な図やイラストを載せることはないので、本文の内容を適宜メモしながら読み進め内容理解や解答に利用する。Bの問1、出来事を時系列順に並べ替える問題では、昨年度の問題で正解するポイントとなった過去完了が本文中に使われていたが、今年度は無関係だった。

 

第4問

第4問、問2ではCindyの意見を要約した「新品+保証付き」が正解となる。ここでも文章の全体像の理解が求められている。問3ではLenのso hurry! とCindyのDon’t wait or you’ll miss out! が「急げ」を意味することを理解する必要がある。問5は本文中にある割引と保証(warranties)の条件を1つでも見逃すと完答できない、注意力を要する問題。

 

第5問

第5問では文章中のpatent「特許」が比較的難語の部類だが、この文章で重要な意味を持つ語であるため、第1段落で初出の直後の文で分かりやすく説明し、受験生の理解をサポートしている。このような難語→説明の流れはセンター試験時代から頻出。問3の本文中の出来事の時系列を答える問題は、本文中のthe following year「翌年」や、at least a year before ~「〜の少なくとも1年前」などの表現を具体的な数字に置き換えながら読む習慣がついていればそれほど困ることはない。

 

第6問

第6問Aは「出生が昼か夜かで決まる(別の要因もあるかもしれないが)体内時計を、不利な面の多い夜型から有利な朝型に切り替えるのは困難かもしれない」という本文の趣旨を理解すれば問3以外の設問は解けてしまう。  

 

第6問Bはプラスチックのリサイクルに関する文章だが、今年度の試験で本文の難度が最も高く、設問に関わる情報量も多い。問2は本文のrecyclabilityが選択肢でrecycling options に言い換えられていることで選びづらくなっている。このような場合は判断を保留にして他の選択肢を消去した方が速い。問3では第3、4段落にある7種類ものシンボルからの出題でかなり時間を取られる。ただし、シンボル1は熱に弱い、シンボル2は丈夫で安全、シンボル3は有害で処理が困難など、各シンボルのおおまかな特徴を把握していれば、正誤の判断はそれほど難しくない。要するに、このような情報羅列型の文章では、それぞれを比較するなどして、主な特徴を把握する工夫をしながら読み進める必要があり、それが結果として解答にかかる時間の短縮につながる。

 

英語担当 與那城大輔