傾向と対策

① 史料・図表・リード文の情報と必要な歴史的知識を発見し、その組み合わせにより正答を導かせる問題が顕著である。
② ひねりの入った時代整序問題が各大問ごとに設けられた他、時期の特定が必要な問題が顕著である。

こうした傾向は、以下の小問形式の分布とも対応している。

 

A. 正答組み合わせ問題→19問(60点)  
 A-1. abcd型→7問(24点)  
 A-2. XY型→5問(15点)  
 A-3. XY-abcd型→5問(15点)  
 A-4. 空欄補充型→2問(6点)

 

B. 正文・誤文単純選択問題→7問(22点)  
 B-1. 正文選択型→3問(9点)  
 B-2. 誤文選択型→4問(13点)

 

C. 時代整序問題→6問(18点) 従来のセンター試験ではB形式が大半を占めていたが、共通テストではA形式が6割を占め、A形式の問題に①の傾向が対応している。またC形式においても、文化史や史料の並び替え、事象の特定が必要なものなど、質的にも特色が見られる。

 

こうした傾向を踏まえ、今後次のような対策を心がけなければならないだろう。
① 基礎的な知識の習得が必要なのはもちろんだが、分野(政治・外交・経済・社会・文化)を横断する歴史的な視野を身につけること。
② 前近代においては半世紀単位、近代においては10年単位を目安として時代ごとの特徴をつかみ、歴史的展開の必然性を理解すること。
③ 古文書を抵抗なく読みこなす能力、複数の資料から必要な情報を抽出する能力を、日頃の学びの実践の中で磨いておくこと。

 

概して、歴史を知識の暗記として捉える学習には限界があるようだ。知識を先人が与えた結果としてのみ捉えるのではなく、先人と同じく歴史考究の場に身をおき、歴史的な知を確定する作業’のミニチュアを、学習者にも再体験させようという願いが見てとれる。(日本史 大岩光昭)

 

この後、大問別分析もUPする予定です。