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傾向と対策
今年度の世界史は前年度比でかなり易化。ただし過去の平均点の推移を見ると、出題に本質的な変化があったとは考えにくい。*下記の表参照
資料から推論して正解を導き出すと言う、共通テストの社会科の特徴が反映された出題形式ではあるが、地理・日本史に比べて世界史は知識の暗記優先の色合いが強い。例えば第3問Aでは明治時代の政治小説をもとに問題文が作られているが、正解を出す過程で推論や思考は必要ない。例えば問題文中に出てくる「1881年にエジプトで民族運動を起こした」と言う一語だけで、世界史履修者ならば「ウラービー」の名が即答できなければならないし、スローガンは「エジプト人のためのエジプト」、独立の対象国はイギリスなのは基本暗記事項である。なので時間をかけて問題文を熟読する必要はないし、問題文からの推論も不要である。また問題Bでは、18世紀から19世紀の世界各地の人口の表に照らし合わせて正しい選択肢を選ぶ問題が出題されているが、正解となる「18世紀中葉からの中国の人口の倍増」は、①新大陸の発見とヨーロッパ貿易の増加、②銀の流入、③税制の大改革の事項で必ず授業中に触れる項目であり、資料の表を見て考えると言う問題ではない。その他の設問も、用語をしっかり覚えてさえいれば、4択の中から不適切な3つの選択肢を簡単に消すことができる。
受験勉強の目的は正解を出すことである。共通テストの世界史で正解を出すための勉強法は、現時点では①用語の理解と、②その歴史的文脈の把握に尽きる。世界史では、「考える」ことの前提として歴史的事実を覚えておかなければならない。なので地道な暗記を避けて通ることはできない。
地歴担当 熊井弘明