全体

全体の難易度としては去年と比べると易化したが、決して簡単で取りやすくなっているわけではない。文章量は増えたが、計算量が適切になりこれからこのような形式、難易度に収束するのではないかと思われる。これまで通り日常的な事象を数学的対象と捉え直す問題も多く出題されており、必要な情報を抜き取り活用していく能力を求められている。

 

数学科担当 比嘉諒輔

第1問

〔1〕一次不等式
誘導が丁寧に用意されており、基本的な絶対値、不等式の操作が扱えていれば得点しやすい問題であった。しかし、最後の問題で枠の後に誘導となる文章が設定されており初めての誘導の形となった。 

 

〔2〕図形と計量
(2) で(1)で問われた内容を次元を一つ上げて拡張され出題された。具体的には(1)円→(2)球、(1)三角形→(2)三角錐、(1)面積→(2)体積として対応しており、基本方針が同じであることに気づければさほど難しくないように思える。 

 

 

第2問

〔1〕データの分析
今回の数学1Aにおいて一番の得点源であると思う。四分位数、箱ひげ図、分散、相関係数その周辺の定義を知っているかを問われた問題である。計算量も少なくある程度概算できることも含め素早く処理したい。 

 

〔2〕二次関数
バスケのシュートの軌道を二次関数として捉える問題で設定の文章が長く、初めから全部読むと情報量が多く何を言ってるのかわからないってなる生徒が多いのではないかと思う。必要な情報を抜粋しながら読み取るスキルが求められており、共通テストの象徴的な問題であった。これからはこのような場面設定の文章量が長く必要な情報を抜き取っていく力が求められていくと思われる。 

 

 

第3問(場合の数)

全体を通して場合の数のみの構成だった。テーマとしての難しさはないが、誘導にうまく乗ることを求められており、個数が拡張されていく中で前に使った考えを利用して次の問題に活かす出題になっていた。前年度の問題も同様の出題のされ方をしており、場合の数・確率での主要の問い方になると思われる。 

 

 

第4問(整数)

長方形を並べた時の辺の長さと最小公倍数、最大公約数との関係に気づく、長方形の並べ方の総数と一次不定方程式との関係に気づく必要がある。このような現実的な題材を数学的対象として捉え、自分で必要な箇所を文字に置いたりし知ってる知識、考え方に昇華させることが求められている。 

 

 

第5問(図形の性質)

図形の性質の頻出の知識を問う問題はあまり出ず、計算もあまりない証明の穴埋めの形式の問題が出題された。最後の問いは今年の数学1Aの中で一番難しい問題であった。

 

今回の共通テストの問題を踏まえ、『問い』から読むことが重要である。初めから読んでいっても何が必要で何が不必要なのかの判断がつかない。問いを読んで初めてどんな情報が欲しいのか、何がわかっていないのかを知ることができる。共通テストを攻略する上でこの特殊な読み方がキーになる。習得できれば8割、9割も夢ではない。

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