共通テスト地理の特徴
共通試験の問題作成委員会によると地理の問題は、「思考の過程に重きを置きながら、地域を様々なスケールから捉える問題や地理的な諸事象に対して知識を基に推論したり、資料を基に検証したりする問題、系統地理と地誌の両分野を関連づけた問題などを含めて検討する」としている。
共通テスト地理の特徴(全体)
今年も共通テストの地理は、知識だけで解ける簡単な問題は少なくなりました。長い問題文でまた複数の資料や地図を見て考えなければならず、問題の意図を理解するのに時間を費やします。出題分野は、地理の全分野から満遍なく出題され、地理に関わる諸事象の仕組みや過程を考えながら多面的・多角的に考察する問題が多く出題されました。問題の一部では、一つの問題でも様々分野の知識を考えながら解く問題が出され、悩んだ生徒もいたと思われます。地誌の問題では今年も比較地誌(今回は中国とインド)が出題されました。第3問と第5問では、探究活動を題材とした問題形式になっている。また地誌の問題は、第4問の地誌だけでなく他の第問でも他の地域や国が出題され、偏った地誌の勉強ではなく全体的に学ぶことを大事です。全体的に問われた知識は標準的であったが限られた時間内で問題の情報を処理する力が試される試験です。
共通テスト地理の特徴(大問別)
第1問は、自然環境と自然災害に関する問題。 様々な自然現象の①仕組み②時期③場所を正確に理解していないと考察ができず解けない問題が多く出題された。あいまいに理解し覚えている生徒には、判断しづらい問である。問3では、世界の都市の年間の気温変化が出ており、普段から地図を通して都市の場所やその周辺の気候などを覚えておく必要がある。
第2問は、資源と産業に関する問題で主に農業を中心に出題。 一見すると農業の問題であるが、問題を理解するためには気候や経済、貿易、地理的位置など様々な分野の理解し基本的な表の読み取る力が要求された。
第3問は、人口と都市に関する問題を祖父の人生を通してストーリー仕立てで解いていく問題になっている。探求授業を意識している問題。年代別の人口や都市の変化などが問われている標準的な問題である。各年代の時代背景を把握している必要がある。問5の従属人口指数の意味を脚注から正しく理解することが問題をとく鍵である。
第4問は、インドと中国の比較地誌が出された。 共通テストの問題は、地誌学習の偏りを起こさないように、一つの地域だけではなく複数の地域を絡めた問題が出題されることが多い。地誌を学習する際は、同じような気候や産業を持つ複数の地域などを比較すると良い。問題の内容は標準的であったが、表や図の読み取りに苦戦する生徒もいた。普段の学習から表や図を読み取る練習が肝心である。
第5問は、利根川下流域の地域調査。 資料や文章が多く、時間がギリギリの生徒には読み取りに時間をかけることができず苦しい問題であったが、丁寧に読み取れば正解にたどりつける問題が多かった。問1では、2点間の標高差を問う計算問題が出題された。
今後の学習はどうしたら良いの?
「なぜ、ここはこのような気候になるか」「どんな理由でこの場所に工場が立つのか」を地理的な視点で理論的に学ぼう。基礎的な仕組みが理解できた後で、学校のテキストなどで地理用語の暗記をすることが大事です。
どこにどの国があるかはもちろんのこと、世界の山脈(新期造山帯、古期造山帯)や世界の気候などを系統地理で理解した仕組みを考えながら地図上でその場所を覚えよう。そうすることで地理的事象の仕組みや変化が地球全体で把握できるようになります。
地理は様々なグラフ問題が出題されます。問題文とグラフ・地図を読み、その問題が聞いている意図を瞬時に理解しないといけません。系統地理で身につけた知識を使って様々なグラフ問題を解こう!
地歴・英語担当 大城祥太