共通テスト国語第2問(小説)

去年までの出典とはうってかわり近年(2017年)発表された牧田真有子「桟橋」からの出題で、主人公も受験生の皆さんと同年代であったため、「読みやすかった」という声を多く聞き、問題としても「易化した」という感想が大半のようです。

とはいえ「読みやすかった」はずでも点数のとれなかった方や正解できなかった問題が存在することも事実ですし、そもそも次の共通テストの小説が「読みやすい作品」で「正解しやすい問題」かどうかはわかりません。

ここはやはり「試験としての読解」を行ったうえで、「きちんと点数をとる」ことを目指すことが大切なのだと感じています。

 

1.

共通テストの小説で「試験としての読解」を実行する土台のひとつが「文法」や「言葉の意味・用法の知識」であり、後者が直接問われたのが問1(語句)の問題(ア)「うらぶれた」(ウ)「やにわに」です。
昨年までは共通テストでは出題されなくなったと言われていましたが(それはあくまで表面上・直接的なだけで、読解するにあたり絶対に必要な力であったのですが)、今回復活しました。
語彙力は言葉に対する①興味&辞書での確認(←自分が思っていた意味・内容とのズレ、不足があるため)といった日々の積み重ねが大事です。

 

2.

②を踏まえた上で③文脈=場の状況や行動で示される意味=内容・心情を読み取る問題が、問2〜問6です。
問3では「もう」、問4では「糸屑を拾うイチナの様子」、問5は「ごまかされたくない」、問6・問7は「風景(情景描写)」や「擬音語・擬態語」「比喩」に示され(込められた)た「心情(の変化)」を読み取る必要がありました。
これらは「意味内容」を読み取るにあたり「文脈」はもちろんのこと、「描写」や「修辞法」の役割を押さえることで「主観的な読み=読書」にならないように訓練することが大切です。

 

問7に関しては、
まず、「私の肉体は家」という「おば」と「演じるごとにを役柄に自分をあけ払う」という部分を、上記2の要領で内容読解(心情読解)=「イチナのおばの捉え方」を理解(整理)したり、
次に、示された資料を読解して「イチナのおばの捉え方」との関係性や教師と生徒の対話の文脈、空欄前後の文脈など、いくつもの押さえるべき点を着実に読解し、選択肢を処理する能力が問われていました。

 

共通テストの小説は、行き当たりばったりの対策ではなかなか点数が安定しないと思われます。必要なことを手間を惜しまず行い、実力をつけて行くことが必要です。その手助けを授業や個別対策を通して行っていくことができると考えています。

 

国語科担当 義村綾子