共通テスト地理の概要

共通テストの地理科目では、思考過程を重視し、様々なスケールで地域を捉え、地理的事象に対する知識に基づく推論や資料に基づく検証、系統地理と地誌の統合問題が取り入れられています。全問題に図、表、資料、写真が含まれる。

 

共通テスト地理の特徴(全体)

【問題傾向】
基本的な知識に基づいて判断可能な問題が多く、地理的事象との関連づけが容易である生徒には有利。知識の定着度と情報処理能力が試される。
問題の変化 前年と比べて長文問題と複数資料を使用する問題は減少。ただし、問題の意図を把握するのに時間がかかる問題は依然存在。全体的な難易度は昨年と比較して平易。

 

【出題分野】 
地理の全分野から均等に出題され、多角的な考察を要求する問題が目立つ。

 

大問構成

– 第1問:世界の自然環境と自然災害
– 第2問:世界と日本の資源と産業の変化
– 第3問:都市と生活文化
– 第4問:環太平洋地域の地誌
– 第5問:島根県石見地方、浜田市の地域調査

 

共通テスト地理の特徴(大問別)

第1問は、自然環境と自然災害に関する問題で、前年に引き続き出題されました。この大問では、様々な自然現象の仕組み、発生時期、発生場所を正確に理解しなければ解答が困難な問題が多く含まれています。特に、曖昧な理解では判断が難しいため、詳細な知識が求められます。問1では、イギリスとニュージーランドの標高別の面積割合とその土地利用について問われ、地図を通して都市の位置や周辺地形の理解が必要です。また、問4はオスロ、シドニー、ムンバイ、ローマの4都市における1月と7月の日照時間のデータ解析を求め、各都市の気候や雨季・乾季の影響を考慮する必要があります。

 

第2問は、世界と日本における資源と産業の変化に焦点を当て、鉄鋼業を事例に展開されます。この問題では、資源と産業に関する基礎知識とデータの分析が重要です。問2は、日本の鉄鋼業の立地変遷について扱い、問3では日本が複数の国から輸入する石炭の量の推移を分析することが求められます。これらの問題では、図の正確な読み取りと理解が鍵となります。

 

第3問では、日本と世界の都市や生活文化に関連する問題が出題されます。これらの問題は、地理的な基本事項の理解に基づいて解答できます。例えば、問1では1960年代の大都市圏の景観を捉えた写真と、それに関連する都市説明の組み合わせを問うもので、問5では先進国と途上国におけるスラム街の形成パターンの違いについて扱います。これらの問題を解くためには、都市の構造だけでなく景観やイメージについての理解も必要です。

 

第4問は、多くの受験生にとってなじみの薄い環太平洋地域の地理に関する問題です。この問題はオセアニア地域に限定されず、太平洋に面するさまざまな国々の地理に関連する内容を含んでいます。共通テストでは、特定の地域に偏らないように、複数の地域を組み合わせた問題がよく出題されます。問1では太平洋の海底地形に関する問題があり、海嶺や海溝だけでなく大陸棚やホットスポットの分布にも注意が必要です。

 

第5問は、島根県岩美地方の浜田市を対象とした地域調査です。地域調査では多くの資料や文章を読み解く必要がありますが、丁寧に分析すれば正答にたどり着ける問題が多く含まれています。今年の問題は前年に比べてやや易しくなっています。問5は江戸時代の貿易に関する問題で、地理的な要素だけでなく歴史的背景も考慮して解答する必要があります。

 

今後の学習はどうしたら良いの?

1 基礎知識を理解して覚えよう! 系統地理の分野を仕組みや理屈を理解しよう。 
「なぜ、ここはこのような気候になるか」「どんな理由でこの場所に工場が立つのか」を地理的な視点で理論的に学ぼう。基礎的な仕組みが理解できた後で、学校のテキストなどで地理用語の暗記をすることが大事です。

 

2 地図帳で確認しよう。 地理の問題では、世界地図を使った問題が多く出題されます。 
どこにどの国があるかはもちろんのこと、世界の山脈(新期造山帯、古期造山帯)や世界の気候などを系統地理で理解した仕組みを考えながら地図上でその場所を覚えよう。そうすることで地理的事象の仕組みや変化が地球全体で把握できるようになります。

 

3、グラフ・地図・表の問題に強くなろう!
地理は様々なグラフ問題が出題されます。問題文とグラフ・地図を読み、その問題が聞いている意図を瞬時に理解しないといけません。系統地理で身につけた知識を使って様々なグラフ問題を解こう!

 

4、共通テストやセンター試験の本試追試の過去問をどんどん解こう!
思考に基づきなら多角的な視点で解く必要がある共通試験の問題は、過去問が一番の問題です。とにかく、過去問を解いてください。過去に問われた内容が何度も形を変えながら出題されていることに気づきます。過去問を解きまくろう!!

 

地歴・英語担当 大城祥太