全体概要

 考察問題に関しては簡単な問題が多く出題された。基本的な知識が入っていれば多くの生徒が解けるものだったと考えられる。しかし、他の理科科目に比べて生物は出てくるグラフのバリエーションが多く、実験やグラフごとの対策が難しい。与えられた文章やグラフから正確に情報を得る練習が今後も求められるだろう。

 特に大問5-2は苦戦した生徒が多い印象だ。本州型と北海道型のイネの性質を見分ける問題であった。本州型イネが短日植物である記述とフロリゲンの発現量のグラフから開花に必要なフロリゲンの量を読み取り、北海道型イネは明期の長さに関係なく開花させれるだけのフロリゲンを発言させていることを読み取らなければならなかった。2つのグラフの関連性に気付けなかったり、温暖な期間が短いという記載に惑わされる生徒が多かったようだ。根拠となる情報と、それを抜き出せるだけの知識が必要な問題である

 考察問題と比べて知識問題はやや難易度が低い問題が多かったように感じる。知識問題の難易度が低く、割合が低いため読解力さえあればある程度の点数は簡単に取れるような問題構成だったと感じる。しかし、その分ほとんどの生徒が正解する問題なので、高得点を目指す生徒は落とすと致命的な差となる。絶対に間違えないよう、理解の深い知識をつけて試験に臨む必要があるだろう

 

GVでの対策

 生物も化学と同様、現象理解と読解力が重要である。しかしどちらも化学より高度な能力が要求されている。初見の問題に対して根拠を持って考察できる力をつけることが大切だ。

 第一ステップとして、インプットとアウトプットの繰り返しを重視した知識の暗記を行なっている。問題の考察を行う際に重要なのは類似する現象をどれだけ知っているかだ。知識がなければ何を確かめたい実験なのか読み取ることができず、全くヒントのない状態で考察問題に臨むことになる。生物は覚えなければいけない知識が膨大なため、いかに効率的に覚えるかが重要だ。そのためにはインプットだけではなくアウトプットの練習も同時に行なっていく必要がある。

 第二ステップではディスカッションを通して考察問題の根拠の読み取りを強化する。自分一人だけで考察問題を練習していると視点が固まってしまい、違った角度から問題を見ることが苦手になってしまう。他者の意見とその根拠を聞き、公平な目線で判断する力を身につけることで考察力を底上げする。