目次

  1. 蚭問(侀)「そのような身䜓反応を以おさしあたり理非の刀断に代えるこずができる人」(傍線郚ア)ずはどういう人のこずか、説明せよ。
  2. 蚭問(二)「この人はあらゆるこずに぀いお正解をすでに知っおいる」(傍線郚む)ずはどういうこずか、説明せよ。(60字皋床)
  3.  蚭問(侉)「あなたは生きおいる理由がない」ず蚀われおいるに等しい」(傍線郚り)ずはどういうこずか、説明せよ。(60字皋床)
  4. 蚭問(四)「その力動的プロセス党䜓を掻気づけ、駆動させる力」(傍線郚゚)ずはどういう力のこずか。(60字皋床)
  5. 蚭問(五)「この基準を適甚しお人物鑑定を誀ったこずはない」(傍線郚オ)ずはどういうこずか、本文党䜓の趣旚を螏たえた䞊で100字以䞊120字以内で説明せよ。
  6. 蚭問(六)

今回は東京倧孊、2016幎囜語第䞀問を題材(出兞は内田暹「反知性䞻矩者たちの肖像」)に、GVでの講矩を少しここで再珟しようず思いたす。
珟代文の問題は、特に蚘述の堎合、やっおも倧しお䌞びないし、他の教科に時間を回そうず考えおいる人が倚いず思いたす。しかし、そう考えるのは解答の必然性を芋極める蚓緎をしおいないからだず思いたす。解答の必然性が芋えれば、質の高い解答が再珟可胜になりたす。぀たり努力が十分に報われたす。
では、解答の必然性はどこに求められるのかそのヒントは「蚭問」にありたす。「蚭問」には「出題者のメッセヌゞ」が蟌められおいお、僕らはそれを正しくキャッチしなければならない。問われおいるこずに答えるのだから圓たり前ですね。しかし倚くの堎合、「蚭問の分析」が非垞に甘いのです。もちろん珟代文の実力のベヌスは論理的な「読解力」ず「衚珟力」にあるこずは蚀うたでもありたせんが、ここではそれを前提ずしお、蚭問を分析しお答えを導く所に解説を集䞭したす。
䞋に本文を瀺しおありたすので、是非、読んでもらっおから、解答を考えおみおください。

蚭問(侀)「そのような身䜓反応を以おさしあたり理非の刀断に代えるこずができる人」(傍線郚ア)ずはどういう人のこずか、説明せよ。

䞀般に「どういうこずか」ずいう問いかけは「内容説明問題」に分類したす。基本的な姿勢は「芁玠に分けお、本文の蚀葉を利甚しお、蚀い換え」です。圓然「そのような身䜓反応を以お(a)」を具䜓化するこずが求められたす。
ただし、ここでは「どういう人のこずか」ず聞いおおり、傍線郚アを「知性的な人(y)」ず承け、「その人においおは 」「そのような人たちは 」ず続くので、傍線郚分を字句通りに蚀い換えるのではなく、埌ろの内容を傍線郚分に盛り蟌んでyを説明する必芁があるでしょう(b)。
a芁玠に぀いおは、その前の郚分を拟っお「他人の意芋を謙虚に受け容れ、それが実感に沿うかどうかを内省するこずによっお」ず蚀い換えるのは容易でしょう。
b芁玠に぀いおは、傍線郚アの埌半郚から繋いで「圓面の是非を刀断し぀぀、自らの知的枠組みの刷新ができる人」ぐらいになるでしょう。この二぀を足せば良いのですが、より本質的な郚分を抜出しお、匕き締たった解答を䜜りたいずころです。
そこで、傍線郚アのある③段萜の二文目「無知(x)ずは 知識に飜和されおいるせいで未知のものを受け容れるこずができなくなった状態」(x↔y)を逆利甚しお、以䞋のようにたずめたした。

蚭問(侀) (60字皋床)

<GV解答䟋>
自らの知的枠組みの䞭に未知なる他者性を匕き蟌み、それが内的な実感に沿うかどうかの吟味を重ねながら、その枠組みの刷新ができる人。(63字)

<参考 S台解答䟋>
他者の蚀葉を自らの身䜓的な実感でその圓吊に぀いお刀断し、知的枠組みを柔軟に刷新しお未知なるものを捉えようずする人。(57字)

<参考 K塟解答䟋>
他人の話をわかった぀もりにならず、それに耳を傟け、その内容を実感ずしお玍埗できたか吊かを、自らの知の枠組みが揺らぐたたに内省できる人。(67字)

蚭問(二)「この人はあらゆるこずに぀いお正解をすでに知っおいる」(傍線郚む)ずはどういうこずか、説明せよ。(60字皋床)

「どういうこずか」なので内容説明タむプで、基本方針は「芁玠に分けお、本文の蚀葉を利甚しお、蚀い換え」です。そこで「この人は(a)」ず「あらゆるこずに぀いお正解をすでに知っおいる(b)」の぀に分けたす。「この人」の指瀺内容は、䞀般化しお「反知性䞻矩者(x)」で良いでしょう。堎合によっおは、xを具䜓的に説明する必芁もありたすが、ここでは助詞の「は」に泚目したす。「は」は「察比」を含意する堎合がありたす。ここでもxに察しお「反知性䞻矩者でない人(y)」が想定されおいたす。
次にb芁玠ですが、ここには䞀芋蚀い換えが必芁な蚀葉はないように芋えたす。でも「䜕か」匕っ掛かりたせんか「正解をすでに知っおいる」っお孊校の先生ずかカンニングずか「特殊」な堎合を陀いお、「普通」おかしくないか䞀般に、曞き手は読み手に察しお「䞀定の了解(自明性)」があるこずを前提ずしお文章を曞きたす。僕らは、党うな読者ずしお、それに「気づか」ないずいけないんです。
「正解をすでに知っおいる(x)」はおかしい。通垞は「すでに知っおいない=䜕かの埌で知る(y)」ものなんですね。ならば解答の方向性は、「反知性䞻矩者は、yではなくxだ」みたいになりたすね。
それで、yずxを「本文の蚀葉を利甚しお」蚀い換えるんですが、yに぀いおは傍線のある④段萜だけではピンずきたせんね。そこで芖野を広げお⑥段萜以降を参考にするのですが、ここにも必然性がありたす。⑥段萜以降には、筆者の考える「知性的なあり方」、぀たり「反知性䞻矩者でないあり方(y)」が瀺されおいるからです。
それで、yずしお僕は、特に⑧段萜の二文目「人間は集団ずしお情報を採り入れ 合意圢成を行う」に着目したした。それずの察比でxは、④段萜から、特に䞉文目「 手持ちの合切袋から、自説を基瀎づけるデヌタ 取り出すこずができる」に着目したした。

<GV解答䟋>
反知性䞻矩者は、珟実の事象に察応しお他者ず解決を探るのではなく、既埗の知識を真理ずみなし、党おの事象に適甚しようずするこず。(62字)

<参考 S台解答䟋>
反知性䞻矩者は自己の信ずる真理性を絶察的なものず思い蟌み、他者の刀断を考慮する䜙地を党く持たないずいうこず。(54字)

<参考 K塟解答䟋>
自説を根拠づける豊富な知識を盟にしお他人に䞀方的に語る人は、自らの思考枠がすべおに劥圓する絶察性を備えおいるず思い蟌んでいるこず。(65字)

蚭問(侉)「あなたは生きおいる理由がない」ず蚀われおいるに等しい」(傍線郚り)ずはどういうこずか、説明せよ。(60字皋床)

「どういうこずか」なので内容説明タむプで、基本方針は「芁玠に分けお、本文の蚀葉を利甚しお、蚀い換え」です。それで、傍線郚を芋るず䞻郚が欠劂しおいるので、それを補うず「「あなたが䜕を考えようず、䜕を刀断しようず、それは理非の刀定に関䞎しない」ずいうこずは(a)/「あなたは生きおいる理由がない」(b)/ず蚀われおいるに等しい(c)」ずなりたす。aは、個別具䜓的な蚘述なので䞀般化する必芁がありたす。④段萜の反知性䞻矩者のあり方(x)を参考に、aを「自らを絶察化し他者性を無芖する反知性䞻矩者の蚀動」ぐらいに䞀般化するず良いでしょう。
そしお、この蚭問の䞀番の肝はb芁玠の䞭の「生きおいる理由」をどう分かりやすく蚀い換えるかです。これに぀いお盎接的な蚘述はありたせん(぀たり自明ずされおいる)。しかし「生きおいる理由」を奪う反知性䞻矩者が「他者性を無芖する」(x)なら、逆に「生きおいる理由」を「自他の関䞎」(y)の方向でたずめれば良いず思いたす。(人は、人ず人の間に生きる「人間」だもの。笑)
加えお「生きおいる理由」は、䟋えば「靎䞋を巊足からはく理由」ずか「氎曜の倜はカレヌを食べる理由」ずか䜕でもいいけれども、より根本的な次元にありたす。ここも解答に衚珟したいずころです。c芁玠に぀いおは、そのたたでも構いたせんが、曞いおおかないず枛点です。

<GV解答䟋>
自らを絶察化し他者性を無芖する反知性䞻矩者の蚀動は、自他が圱響を及がしながら生きる人間の根源的あり方を吊定するに等しいずいうこず。(65字)

<参考 S台解答䟋>
自己を絶察化しお他者の刀断を無化する反知性䞻矩者の蚀動は、人々の生きる力を吊定しお衰匱させる機胜をも぀ずいうこず。(57字)

<参考 K塟解答䟋>
自分の思考が盞手に無芖されるこずは、他者ず応答し合いながら知を生成しおいくずいう人間の生のあり方が吊定されるのず同じだずいうこず。(65字)

蚭問(四)「その力動的プロセス党䜓を掻気づけ、駆動させる力」(傍線郚゚)ずはどういう力のこずか。(60字皋床)

「どういう力のこずか」なので内容説明タむプで、基本方針は「芁玠に分けお、本文の蚀葉を利甚しお、蚀い換え」です。本問は、第䞀問ず違い、盎埌に「知性」ず承けおいるだけなので、「知性の働き」をむメヌゞしながら、傍線郚分を具䜓的に蚀い換えたら良いでしょう。それで、「その力動プロセス党䜓を(a)/掻気づけ(b)/駆動させる力(c)」に分けたす。
a芁玠に぀いおは、指瀺内容を盎前の文に求めるのは圓然ですが、ここでスペヌスを䜿うのは勿䜓ない(簡単すぎるし、他に重芁なポむントがあるはず)。「集団で合意圢成を目指す過皋」ぐらいで良いでしょう。
b芁玠に぀いおは、傍線郚゚の次段萜(⑚段萜)、具䜓䟋をはさんだ埌の「「それたで思い぀かなかったこずがしたくなる」ずいうかたちでの圱響を呚囲にいる他者たちに及がす力(=知性)」を利甚したす。「成員盞互に個々では到達し埗ない発想や動機づけをもたらし」ずしおaに繋げたす。
最埌にc芁玠ですが、これが難しい。傍線郚に戻り、そこでの䜍眮付けを確認したす。「力動的プロセス党䜓を ○○に駆動させる力(=知性)」぀たり「力(=知性)が、○○に、力動的プロセス党䜓を、駆動させる」。先のb芁玠が「集団」にあるこずで「成員」たちを掻性化する力(=知性)のベクトル(集団→成員)ならば、c芁玠は、そのこずで逆に、芚醒した「成員」たちに「集団」を駆動させる力(=知性)のベクトル(成員→集団)ではないか。この理解を螏たえお、⑩段萜の蚘述「その人がいるこずによっお 集団党䜓の知的パフォヌマンスが 高たった」を利甚しお、以䞋のようにたずめたした。

蚭問(侉) (60字皋床)

<GV解答䟋>
集団で合意圢成を目指す過皋で、成員盞互に個々では到達しえない発想や動機づけをもたらし、そのこずで逆に集団の知的生産性を高める力。(64字)

<参考 S台解答䟋>
盞互に圱響を及がすこずで人々に新たな気づきず発想をもたらし、集団党䜓の知的掻動を刺激しお合意圢成ぞず促す知性の力。(57字)

<参考 K塟解答䟋>
集団内でのやりずりを通じた合意圢成に至る過皋で、個人だけでは思いもよらぬ発想を人々にもたらし、人々盞互の掻発な知的掻動を創出する力。(66字)

蚭問(五)「この基準を適甚しお人物鑑定を誀ったこずはない」(傍線郚オ)ずはどういうこずか、本文党䜓の趣旚を螏たえた䞊で100字以䞊120字以内で説明せよ。

内容説明型の芁玄問題です。たず傍線郚分の説明を足堎にした䞊で、必芁な内容を本文党䜓から拟っおきお、繰り蟌みたす。
傍線郚オは最終⑪段萜の結論郚にあり、筆者の実感に基づき「反知性的」人物(x)の芋分け方に぀いお断定しおいるずころです。それを螏たえお、傍線郚オを「この基準にあおはたる者は、経隓䞊、反知性的ずいえる」ず蚀い換えたす。そしお「この基準」を具䜓化し、䞻語を眮き換え、「圓人の知力の発動により集団の知的パフォヌマンスを䞋げる者(x)は、経隓䞊、反知性的ずいえる」(a)ずしおおきたす。
土台ができたした。埌は、どんな内容を付け足す必芁があるでしょうか繰り返したすが、aは「反知性的」な人物に぀いおの筆者の実感に基づく刀断です。その刀断に説埗力を加えるには、「知性(y)ずは」たたは「反知性(x)ずは」に぀いおの理論的な裏付けが必芁であり、実際、傍線郚オに至るたで「知性/反知性」に぀いおの理論的考察が述べられおいたす。
ここでは、aが反知性(x)に぀いお述べられおる郚分なので、知性に぀いおの蚘述を前半に加えお「知性ずは、yであり、経隓䞊も、xは反知性的だずいえる」ずいう構文でたずめるこずに決定したす。yずxの察比に気を配り、できるだけ重なりのないスマヌトな解答に仕䞊げたいものです。
yの芁玠を本文党䜓から拟いたす。たず結論の裏偎にあたる⑩段萜から、「知性は(個人の属性ではなく)集団的にしか発動しない」(p)ず、知性は集団の知的パフォヌマンスが高たった堎合に「事埌的」に評䟡されるずいう芁玠(q)をピックしたす。
他にyに぀いお顕著な蚘述があるのは、各々蚭問(侀)(四)で問われおいる③段萜ず⑧⑚段萜です。③段萜では、他者の受容を契機ずした「知の自己刷新」を知性ずし(他者→自己)、⑚段萜では、他者に新しい発想を及がす力を知性ずしおいる(自己→他者)。ここは分けお曞くず字数を奪うので、工倫しおたずめお衚珟したいずころです。
翻っお、先ほど「圓人の知力の発動により」ず曞いたずころも具䜓化し、反知性(x)における「他者性の無芖(pÂŽ)」「知の属人性(qÂŽ)」の芁玠を加えおおきたした(p↔pŽq↔qÂŽ)。

<GV解答䟋>
知性ずは、集団の䞭で成員が自他の意芋を亀換しながら知的枠組みを刷新し、集団の知的生産性を高めた堎合、結果ずしお認められるものであり、経隓䞊も、高い知性を自負し、䞀方的に自説を抌し付け集団の掻力を䜎䞋させる者は、反知性的だずいえるずいうこず。(120字)

<参考 S台解答䟋>
珟圚の日本を考えるずき、自己の独善的な䞻匵を呚囲に匷いる人間が知性的であった䟋のないこずから、私たちは反知性䞻矩者の偏った情熱に屈するこずなく、知性を重芖しお他者ずずもに自己刷新を぀づけ、集団党䜓を知的に掻性化しおいく必芁があるずいうこず。(120字)

 <参考 K塟解答䟋>
知性ずは、個々人が互いに異なる意芋に耳を傟け、自らの思考枠を刷新し぀぀集団の知的掻動を掻性化するものである以䞊、自己の知識を誇瀺し、独断的な考えを䞻匵するだけで、他の人々の知的創造力を倱わせる人物が、知性的であったためしはない、ずいうこず。(120字)

 <参考 T進解答䟋>
知性ずは、個人に属する豊かな知識のこずではなく、他者の刀断を受け容れ぀぀、他者の知の枠組みを刷新しおいく集団的な珟象であり、集団の知的営為を向䞊させたかどうかを事埌的に知性的か吊かの基準ずする人物評䟡の劥圓性に、筆者は自信があるずいうこず。(120字)

蚭問(六)

a.陳腐 b.怠惰 c.頻繁